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【同意なくして】
「あなたが一生、刑務所で暮らそうと、死刑になろうと、私の大切な人が帰ってくることは、もうない。それが悔しくて、苦しくて、この先どうやって生きていったら良いのか分からない。私たち残された遺族は、人を恨み、憎み、そして、そこから這い上がって、生きていくしかないのでしょう。ただ、あなたには、もう二度とこのようなことが誰にも起こらないよう、つぐなってほしい。」 苦しくなるほど、数えきれないほど、このような悲痛の叫びを聞いた覚えがあります。残された遺族が、悲しみの果てから搾り出す言葉は「もう二度とこのようなことが誰にも起こらないよう、つぐなってほしい。」古今東西、共通する感情ではないかと、思わずにはいられません。 本当に起こったら、すごく怖いことですが、仮の話として想像してみてください。 あなたの大切な人が、取り返しのつかない傷を負ってしまった、あるいは殺されてしまったとします。あなたやその大切な人の断ち切られた夢、希望、安らぎ、そして幸せ。あなたやその大切な人は、どのような感情にとらわれるのでしょう。悲しみですか。怒りですか。憎しみですか。その全てを足しても、なお足りないくらい、抑えきれない感情ですか。そして、あなたやその大切な人は、その加害者に何を求めるのでしょう。謝罪ですか。つぐないですか。無期懲役ですか。それとも、死罪ですか。 それから歳月が過ぎ、あなたやその大切な人が知らないところで「その事件はもう解決しました」と、国から説明されたとします。しかも、それはお金で解決したのだと。 「どういうことだ。深く心に傷を負った人たちが置き去りにされたまま、どうして国がこの事件を解決することなどできるのか。ましてや、人の心の傷や生々しい感情を、お金で解決するだなんて、あり得ない。」 「けれども、これはもう永久に解決したのですよ」と、国から説明される。「いつまでも、くよくよとしてないで、加害者も謝罪してることだし、未来に向かって歩んでください。」 あなたやその大切の人は、それで、納得できますか。心の傷や生々しい感情は、癒えますか。 これは、慰安婦問題にも、当てはまります。慰安婦問題とは、かつて主に戦地で軍人の性の相手をさせられた、性奴隷にされた女性たちを巡る、人権侵害問題のこと。この問題が実在したという公文書や証言は、世界中にたくさんあります。アメリカ軍にも、ドイツ軍にも、イギリス軍にも、ソ連軍にも、フランス軍にも、このような醜い歴史はあります。日本軍にもありますが、日本政府はその問題がなかったかのような姿勢を長きにわたりとってきたり、未来に伝え継がれる教育を放棄し続けていることから、戦後70年超経った現在にまで、引きずることとなっています。 それを「信じない」あるいは「信じたくない」と言う人には、心を大きく広げて考えてもらいたい。戦争という極限なまでの狂気のなかで、人間のおぞましいほどの醜さや残虐さがあり、そのような忌まわしさがあったと考えるのは、想像に難くない、ということを。現代のテロリスト集団の先駆けのごとく「聖戦」の名のもとに、中国やアジア諸国を侵略し、村の婦女を強姦しては証拠隠滅のため、笑いながらその家族を殺害し、家ごと焼き払った狂気の中で、そのようなおぞましさがあったと考えるのは、想像に難くない、ということを。 「戦時中には、どこの国でもあったことだ」と言う人もいるでしょう。そうかも知れません。そのような人権侵害が、あたかも当たり前のことのように平然と行われてしまっても、何ら不思議ではないことからも、戦争は絶対に許容してはならないのです。 しかし、仮にどこの国でもあったことだとしても、それがいけないことであれば、自分もそうして良かったことにはなりません。ましてや、してしまったのであれば、それを認めて、謝罪して、そして、つぐなうこと。 それが、人間のモラルに照らして、とるべき道ではないでしょうか。 心に深い傷を負った人たちの同意なくして、お金をもらって解決しようとした国と、お金を払って解決しようとした国。どちらも、とても未熟ではないでしょうか。 続きを読む:謝罪、そして、つぐない(2)【心の傷】 全シリーズ:謝罪、そして、つぐない(1)~(6) [1] [2] [3] [4] [5] [6] 同じテーマを読む:暴力/平和 Comments are closed.
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