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104: 9回裏2アウトの罠(2)

2/10/2024

 
【生々しい感情】
「正当防衛」を主張した「次なる殺害」は、「無実の人たちを巻き込み殺すことはやむなし」を意味するので、終わりがありません。
 
ロシア軍によるウクライナへの侵略戦争においても、同じことが言えるでしょう。
 
ロシア軍の攻撃により、多くのウクライナの無実の人びとが殺されてしまいました。ウクライナ軍は「先に殺されたので、仕返しで殺すことは正当防衛だ」と言い、今度はロシアを攻撃する。
 
けれども、まさにそのウクライナ軍の仕返しで、先のロシア軍によるウクライナへの攻撃とは何ら関係のないロシアの無実の人びとまでもが殺されている。その中には、プーチン政権を反対していたり、反戦を訴え平和を願っていた人たちもいるでしょう。
 
そして今度は、そのロシアの無実の人びとが同じ理屈で、「先に殺されたので、仕返しで殺すことは正当防衛だ」と言う。
 
このように殺し返せば返すほど、無実の人たちは、もはや無実ではなくなり、別の無実の人たちを巻き込んでしまう。たとえ一時的に抑え込めたとしても、長期的な視野で捉えたならば、「正当防衛」を主張した「次なる殺害」には、終わりがないのです。
 
人類が今まで繰り返してきた戦争・紛争の悲惨な歴史においても。また、ウクライナとロシアや、イスラエルとパレスチナなど、最近の世界情勢からも。その事実は幾度となく証明されています。
 
そもそも多くのパレスチナの無実の人びとは、卑劣な迫害をイスラエルの歴代政権から受け続けていたり、おぞましい暴力にさらされ続けていたり、数十年にも渡り理不尽に投獄され続けていたり、残酷な貧困を余儀なくされ続けている。
 
そのことからも、パレスチナの無実の人びとは同じ理屈で、「先にやられたので、仕返しは正当防衛だ」と言います。そして、その中から、残忍なテロ行為に正当性を主張してハマスに参加してしまう、元々は無実だったパレスチナの人たちもいるのです。
 
愛する人が殺された、言葉にできない悲しみ。
その殺人者が憎い、許せない。
 
この悲しみ・怒り・憎しみという、自然の生きものである人間の生々しい感情が、仕返しで殺すことに正当性を感じさせる。
 
「9回裏2アウト」のように、もう後がない「崖っぷちの状況」に追い詰められた時、多くの人たちがそう感じてしまうのです。


続きを読む:9回裏2アウトの罠(3)【殺しで殺しは失くせない】
前回を読む:9回裏2アウトの罠(1)【正当ですか?】
 
全シリーズ:9回裏2アウトの罠 (1)~(5)
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同じテーマを読む:暴力/平和

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    JOE KIM
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