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【もう手立てがない局面】
殺すことで、殺しを失くすことはできません。 それは、一人の無実の人間の命が奪われることにより、殺されてしまった人の家族・友人など、複数の人たちに「仕返しで殺す正当性」を与えたのなら、それこそ次々と、まるで倍速的に「正当に殺す権利」を生んでしまい、人びとは殺し続けても、とても追いつくことはできないからです。 現在のウクライナとロシアや、イスラエルとパレスチナにおいても、同じことが言えるでしょう。これら2つの戦争のみを捉えてみても、現時点において、パレスチナ市民約33,091人、イスラエル市民1,410人、ウクライナ市民40,000人、ロシア市民60人が殺害されてしまいました。 ここではっきりと認識すべきは、その大多数が、先の殺人に何ら関係のない無実の人たちだということ。 さらには、イスラエル軍の攻撃により、ガザ地区に住んでいたパレスチナの人びと約170万人が慣れ親しんだ生活を追われ、死と隣り合わせの難民生活を余儀なくされています。また、ロシア軍の攻撃により、ウクライナの人びと1千万人が国内外において難民生活を余儀なくされています。 そして過去から現在まで、世界中の戦争・紛争のあまりにも大きな被害を前に。殺されてしまった人の家族・友人など、複数の人たちに「正当に殺す権利」を与え続けるのなら、人びとはどれほど殺しを続けたとしても、むしろ殺すたびに、さらに「正当に殺す権利」がそれ以上に増えてしまい、とても追いつくことはできません。 人類が今まで繰り返してきた戦争・紛争の悲惨な歴史から素直に学んだのなら、人間の醜い争いに終わりがない理由は、ほぼこれに尽きるでしょう。 たとえ一時的に抑え込めたとしても、長期的な視野で捉えたならば、どうしても、先の殺人に何ら関係のない無実の人たちを巻き込んでしまう「正当防衛」を主張した「次なる殺害」には、終わりがないからです。 「先に殺されたので、仕返しで殺すことは正当防衛だ」とする攻撃が、「必ず先の殺人を犯した相手だけ」を唯一の対象にすることがほぼ不可能だからです。 「けど、仕返しで殺すことに正当性がないのなら、一体どうすればいいんだ!何もしないと、無実の人たちが殺され続けるんだ。次は、自分や自分の家族かも知れない。殺し返すしかないだろう!!」 このような、もう後がない「崖っぷちの状況」に追い詰められた時には、打てる手立てが殆どありません。「生まれたばかりの赤ちゃんであっても、小さな子どもたちであっても、無実の人たちを巻き込み殺してもやむを得ない」のように、とても理不尽で正当性のないことに、正当性を見いだそうとすることくらいしか残されません。 これが「9回裏2アウトの罠」なのです。 ここに一歩足を踏み入れると、ズブズブと泥沼の深みにはまってゆきます。もう打てる手立てがほとんどない局面を迎えてしまいます。 けれども、たとえ罠にはまってしまったとしても、どれほど悲しくて辛くとも、理不尽なことは、どのような状況にあったとしても、理不尽には変わりはない。してはならないのです。 では、どうすれば良いのか。次回は、そこにつなげてみたいと思います。 続きを読む:9回裏2アウトの罠(5)【1回表から始める】 前回を読む:9回裏2アウトの罠(3)【殺しで殺しは失くせない】 全シリーズ:9回裏2アウトの罠 (1)~(5) [1] [2] [3] [4] [5] 同じテーマを読む:暴力/平和 Comments are closed.
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