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【1回表から始める】
「けど、仕返しで殺すことに正当性がないのなら、一体どうすればいいんだ!」 もう後がない「崖っぷちの状況」に追い詰められた時には、打てる手立てが殆どありません。「生まれたばかりの赤ちゃんであっても、小さな子どもたちであっても、無実の人たちを巻き込み殺してもやむを得ない」のように、とても理不尽で正当性のないことに、正当性を見いだそうとすることくらいしか残されません。 けれども、例えこのような「9回裏2アウトの罠」に陥ったとしても、理不尽なことは、理不尽には変わりはない。してはならないのです。 では、どうすれば良いのか。 少なくともそれは、「9回裏2アウト」の状況から考えて話し合いを始めるのでは、あまりに遅すぎるということ。 「平和と戦争や、非暴力と暴力」の話し合いをする度に気がつくのは、「9回裏2アウト」の議論を伝家の宝刀の如く、すぐに持ち出す人たちが多いこと。「非暴力ではヒットラーは止めれなかった」とか、「原爆投下なくして軍国日本は降伏しなかった」など。 その議論自体が浅はかなのは、話し合いをそこから始めるのだと、当然になすすべが殆どなく、残されたオプションはどれも悲惨だからです。「やり返さなければ、こっちがやられる」にすぐに行く着くしかない「9回裏2アウトの罠」だからです。 そこに囚われ続けたままでは、実り多き考えや成果を伴う話し合いには、発展しないでしょう。 そうではなく、試合開始である「1回表」から考えて話し合いを始めなければならない。欲を言えば、試合前の練習から始めても良いくらいです。考えて話し合うべきは、どうやって「9回裏2アウト」の状況にならない世界を築いてゆくのか。正直な平和教育がとても大切です。 この世界をすべての生命にとってより良くする責任。この責任は、すべての大人に課せられていることを、私たちは自覚しなければなりません。 もちろん、娯楽は大切です。子どもから大人まで人生を笑顔で彩るには、すべての人にとってエンターテインメントは必要です。 けれども、たとえばYouTubeの人気娯楽動画が一週間のうちに5百万回超も視聴されるのに対して、平和教育の大切な本はどれほど読まれているのか、とても危惧します。 マーティン・ルーサー・キングやマハトマ・ガンジーが書いた本を、深く考察する人がどれ程いるのか、危機感を覚えます。非暴力抵抗を実践した人たちの考えを、本質的に理解して取り入れる真の勇気ある人があまりに足りない。あるいは、家永三郎が戦争責任を問う本に書いた、心に突き刺さるような想いを熟慮する人があまりに少ないことに、危惧を抱きます。 平常時に、何をするのかが大切なのです。「1回表」から考えて話し合うことで、「9回裏2アウト」の状況にならない世界を築いてゆくのです。 もちろん、やる気はあっても出来ない人たちもいるでしょう。たとえば、暴力・虐待・貧困など、困難な境遇にある人たちには、あまりにも環境が整っておらず、難しいかもしれない。 また、そうではない人たちでも、仕事・家事・子育ての日々に追われ、ゆっくりと一息つける時に、非暴力抵抗や戦争責任など、頭と心のフル稼働を要求されるヘビーなトピックを自ら進んで手に取るのは、正直キツイでしょう。けれども、多少のゆとりがあり、できる境遇にあっても、色々な理由を述べては、平常時は娯楽にふけりがちな人たちが多いのが、現状ではないでしょうか。 戦争・紛争において、当然のように恐怖に陥り、生々しい感情をむき出して、狂気を起こし続けないためにも。人間の醜い争いを、一時的ではなく永続的に終わらせるためにも。 「1回表」から始めませんか。 前回を読む:9回裏2アウトの罠(4)【もう手立てがない局面】 全シリーズ:9回裏2アウトの罠 (1)~(5) [1] [2] [3] [4] [5] 同じテーマを読む:暴力/平和 Comments are closed.
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