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【若い世代でさえ】
その国の選挙において、どの政党・候補者に投票したのか。そこから、人びとの考え・意識・姿勢が見えてきます。 先月の衆議院総選挙は、戦後初となる単独政党による3分の2以上の議席を、自民党が獲得。昨年終盤に安倍元首相の極右路線を引き継ぐ高市首相になったことで、他の保守系政党に近年流れていた有権者たちが、自民に戻ってきたようです。 また選挙直前に、最大のリベラル系政党である立憲民主党が保守系の公明党と合併して、モデレート系の中道改革連合になりました。これにより、リベラル系は最大勢力を失ってしまいました。 これらの結果、得票率は、
引き続き、更なる保守化が進んでいることが分かります。 東京都においては、
比例東京ブロックの得票率は、
ちなみに、前回のアメリカ大統領選(2024年11月)は、
アメリカと比較すると、日本および東京ですら、圧倒的に保守であることが分かります。[詳しくは#123] そして、日本とアメリカのもう一つの大きな違いは、若い人たちの傾向です。以下は「支持政党あり」と答えた人たちの割合。 日本(今回衆議院選直後のNHK調査):
米国(2024年4月Pew Research Center調査):
日本は、どの年齢層においても圧倒的な保守傾向にあり、一番若い世代が最も保守なのです(39歳までが89ポイント差で保守系)。 アメリカは真逆で、若い世代である程リベラルな傾向にあり、一番若い世代が最もリベラルなのです(29歳までが32ポイント差でリベラル系)。 一方で、アメリカでは50代を境に、リベラル系から保守系への逆転が見られます。これは、1960年代の公民権運動 [詳しくは#7]を境にインクルーシブ教育が進みだしたことを鑑みると、それ以前の教育を受けた人たちは保守、それ以降はリベラルな傾向だと納得がいきます。 他方、日本は「国が教えたいことを、国が教えたいように」教育するシステムを保守して、記憶力ベースの教育 [詳しくは#125] を続けています。インクルーシブ教育・環境が整えられず [詳しくは前回]、そこに戦争の悲惨な記憶が薄れるにつれて、人びとの考え・意識・姿勢が戦前のように戻ってきているのでしょう。[詳しくは#4]・[#65] 次回は、この大問題の解決策を提案してみます。 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(7)【集まらない原因2】 同じテーマを読む:ある視点 【集まらない原因2】
日本のエリートと呼ばれる大学ですら、世界中から学生があまり集まらない。 なぜ、集まらないのか。その大きな原因は、主に二つ。 [原因 その1] 就職・生活へのつながりが乏しい。 こちらは、前回のブログで説明しました。 [原因 その2] 給料が低い 一人当たりのGDPは、その国における生産性を測る指標ですが、ざっくり概算として、すべての職業の平均年収を表すとも言われます。なぜなら、一人当たりの生産性が低いと、支払える給料が低くなりがちなのは、ある意味当然だからです。 そこで、以下のデータです。 2024年の一人当たりGDP(カッコ内は世界ランク):
比較のため米ドル換算になりますが、今や、日本はアメリカの4割にも満たない。 また、アジアにおいて:
そして、何よりも残念なのは、日本はみるみる落ち目なのです。 経済全盛期の1990年当時は:
それから35年ほどで、シンガポールを除いては、他国が上がったというよりも、むしろ日本が著しく下がった印象です。余談ですが、シンガポールの躍進が際立っているのと、人口の約47%が移民であることは、インクルーシブ経験の観点からも一致します。 そもそも移民・難民・避難民の受け入れなど、あらゆる人権・人道面において、日本は当時から「先進国」とはとても呼べませんでした [詳しくは#109]・[#110]。そして現在、バブル崩壊からの「失われた35年」により、唯一頼みの綱だった経済面でさえ「先進国」とは呼び難いほど衰退してしまったのです。 生産性・給料が衰退する場所へは、世界中から学生が集まり難いのは当然でしょう。 それは日本のみならず、アメリカ国内でも同じ。トランプ政権は「Make America Great Again」(MAGA)のスローガンを掲げ、その支持が高い保守的な地域は地方・田舎にある。けれども、世界中の学生の殆どが、アメリカの地方・田舎の農業や林業、鉱業や石油産業などを夢見て、渡米したいとはあまり考えていないでしょう。 むしろ、圧倒的にリベラルな都市部のシリコンバレーやウォール街、最先端の医療やエンターテインメント業界などを夢見て、渡米してみたい人たちが大多数でしょう。 それでもリベラルを破壊したいトランプMAGAの矛盾は、明白です。 より開かれ、よりオープンである程、世界中の学生たちは引き寄せられる。 より閉ざされ、より排他的である程、世界中の学生たちは避ける。 以下のデータは、世界の大学 4大ランキングにおいて、トップ50にランクインしている日米の大学の数です。あくまでも参考程度ですが、4つの有力な指標を持ち合わせることで、大枠を捉えることはできるでしょう。 なお、4大ランキングとは:
世界トップ50(カッコ内は校数):
このようにランキングからも、世界中の学生たちを引き寄せる力の差が伺えます。 日本は 1)就職・生活へのつながりが乏しい、2)給料が低い。これらにより、世界中から学生があまり集まらず、インクルーシブな環境を整えられないのです。
この繰り返しです。 そして、この悪循環・負のスパイラルの行きつく先には、ジリ貧しか残されない。 次回は、先日結果が確定した衆議院総選挙を踏まえて、この考察を深めたいと思います。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(8)【若い世代でさえ】 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(6)【集まらない原因1】 同じテーマを読む:多様性/インクルーシブ 【集まらない原因1】
アメリカの都市部が圧倒的にリベラルなのと比較して、日本・東京およびアメリカの地方・田舎が圧倒的に保守なのは、インクルーシブな経験の違いが、最大の理由です。以下は、エリートと呼ばれる大学における学生の割合。 外国籍・移民:
人種:
日本における外国人留学生の最多は東大で16%。移民については、データが存在しない程ごく少数。 [詳しくは前回] この事実を知ってか知らずか、少なからぬ人たちから漏れ聞こえてくる意見がこちら: 「東大は外国人じゃなくて、日本人をもっと入れてあげればいいのに。」 しかも、自分自身や自分の子どもはアメリカなど、外国人留学生を積極的に受け入れてくれる恩恵に預かった人たちでさえ、このように主張するケースが散見されます。 けれども、見ての通り現実は、日本のエリートと呼ばれる大学ですら、世界中から学生があまり集まらない。もしかしたら実際は、それほど集めようとしていないのかも知れませんが、大学側の情報を見る限りにおいては、とても熱心に集めようとしている様子が伺えます。 それでは、なぜ、集まらないのか。 大きな原因は、主に二つでしょう。 [原因 その1] 就職・生活へのつながりが乏しい 世界中の学生たちを引き寄せる大学では、インクルーシブな教育・環境がとても大切にされています。そして、インクルーシブな環境とは、もちろん卒業後も、その国で就職・生活へとつなげられることを含みます。 特に最近の大学生たちは、卒業後の就職に並々ならぬ関心を寄せているので、大学を選ぶ際にも、就職を前提に決める傾向が高い。さらに就職は、社会人としての人生をどの場所でスタートさせるのか、基盤をどこで構築するのかに、大きな影響を及ぼします。 そのため、移民を多く受け入れる国は世界中の学生たちにとって、とても魅力的。 そこで、以下のデータです。 移民の受け入れ (カッコ内は人口の割合):
日本はたった2%。インクルーシブな国々と比較すると、あまりに排他的と言わざるを得ない [詳しくは#109] 。 この事実を知ってか知らずか、少なからぬ人たちから発せられる声がこちら: 「外国人だらけだ!」 「中国人に乗っ取られる!」 「日本が日本でなくなってしまう!」 世界の実情を知ったならば、あまりにも浅はかです。残念なことに、自分自身や自分の子どもはアメリカなど、外国人を積極的に受け入れてくれる恩恵に預かった人たちでさえ、このように主張するケースが散見されるのです。 また、外国人を脅威と捉えて、保守的な発想で恐怖心をあおる: 「外国人が増えたせいで、犯罪も急増してる!」 けれども、警察庁でさえも、そのような事実はないと発表しています。ここでも、事実に裏付けられたエビデンスをベースにできず、自分の頭でしっかりと考えられないことが、問題の根底にあるようです。 もっとも、都会のコンビニなどで働く技能実習生たちを中心として、近年、日本において外国人が増えているのは事実。けれども、それは少子高齢化により、仕事を担ってくれる人たちが減っているから。日本社会を安定的に回すための労働力確保として、誰よりも日本に住む人たちにとって必要不可欠であり、有難いことなのです。 それでも、先進国と比較すれば、ほんの少し増えた程度。 しかも、「技能実習制度」とは名ばかりで、特別な技能を教えるのは殆どなく、人気があるとは言い難い仕事を低賃金でしてもらい、転職も許されず、しかも数年で日本から追い出される。また、現代奴隷制と呼ばれるほど悪質なケースも目立ち、「育成就労制度」への移行が決まりましたが、これも人びとの保守的な発想が変わらなければ、名ばかりに終わってしまうリスクが高い。 話を元に戻しますが、もし、このような日本社会、移民をあまり受け入れない国で就職したら、せっかく日本で人生の基盤を構築し始めたのに、数年で追い出される。それは、仕事や住居のみならず、人や地域社会とのつながり等、ほぼすべてをやり直すことを意味します。 そのような不安を前提とした日本へ留学するのは、世界中の学生たちにとって魅力的とは言い難いでしょう。 現在のトランプ政権は、アメリカを日本のような国にしたくて仕方がないようです。それは、人種・民族的な圧倒的マジョリティが支配する社会を目指すもの。そのためには、移民を減らし、外国人留学生を減らす。難民であろうが、家族を引き裂こうが、非正規滞在者を厳しく追放することをためらわない。 そのような保守的な政策が、アメリカで強行されてから僅か1年。既に、世界中の学生たちがアメリカへの留学を敬遠し始めています。ここからも、いかに就職・生活へのつながりが、学生たちにとって重要なのかが伺えます。 次回は、二つ目の原因を考察したいと思います。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(7)【集まらない原因2】 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(5)【インクルーシブ経験】 同じテーマを読む:多様性/インクルーシブ 【インクルーシブ経験】
日本の教育制度は「国が教えたいことを、国が教えたいように」教育するシステムです。そして、ひたすら詰込み型の暗記が得意な学生を高評価する、記憶力ベースの大学受験。 それとは対照的に、アメリカの都市部で広く受け入れられるインクルーシブ教育は、幅広い知的・情緒的・社会的・創造的といった多角的な能力を意識して育みます。 多くのアメリカの大学が、世界中から多彩な背景の人たちを歓迎する環境を整えようとするのは、インクルーシブ教育を大切にするからこそ。 それを裏付けるデータがこちら。以下は、エリートと呼ばれる大学における学生の割合。 1. 外国籍・移民
米国:約25%(スタンフォード大)から39%(コロンビア大)が外国籍。また、現在のトランプ政権とは真逆で、従来はリベラルな発想で移民を積極的に受け入れる国らしく、外国籍の学生たちに加えて、さらに32%が移民。半数を大きく上回る学生が、外国籍もしくは移民。 日本:約2%(慶応)~16%(東大)が外国籍。移民については、データが存在しない程ごく少数。 2. 人種
米国:
日本:詳細なデータは存在しませんが、外国籍のうち、約93%がアジア出身(中国・ネパール・ベトナム・ミャンマー・韓国、など)。学生の大多数が日本人であることと合わせると、99%超がアジア系。 3. ジェンダー
米国:女性が約51%(プリンストン大)~54%(ハーバード大) 日本:女性が20%(東大・京大)~39%(早稲田) -------------------- 以上のデータから、アメリカの大学が世界中から多彩な背景の人たちを歓迎する環境を整えたインクルーシブ教育を実践しているのに対して、日本の大学は多様性を歓迎する環境を整えているとは言い難い現状が浮き彫りになります。 日米のエリートと呼ばれる大学の間でさえ、ここまで違いが歴然としているのですから、幅広い知的・情緒的・社会的・創造的といった多角的な能力を育むことや、人権意識・多様性への寛容さ・社会活動への積極性、さらには事実に裏付けられたエビデンスをベースとして、自分の頭でしっかりと考えられる・それを行動に移す能力にも違いが生まれがちになるのは、明白でしょう。 もちろん、インクルーシブ教育を受ける機会がなかった人であっても、多角的な能力を身につけ、人権意識を大切にし、事実に裏付けられたエビデンスをベースとして、自分の頭でしっかりと考えて行動に移せる人はいます。 他方、エリートと呼ばれる大学でインクルーシブ教育を受けた人であっても、多角的な能力を身につけられず、人権意識が希薄で、事実に裏付けられたエビデンスをベースにできず、自分の頭でしっかりと考えられない・行動に移せない人もいます。 けれども、それらをもってしても、大きな傾向を忘れないようにしたい。 それは、人権意識を育む「教育と多様性」が備わった環境で学ぶことが、「保守的な発想」から抜け出し、「リベラルな発想」へのきっかけをつくるということ。 それをはっきりと裏付けるデータがこちら。以下は、2024年のアメリカ大統領選における、有権者の学歴と投票結果。
同じく、2020年の大統領選においても、
大学でのインクルーシブな経験が、「保守的な発想」から抜け出し「リベラルな発想」へのきっかけをつくる様子を、はっきりと映し出しています。 それとは対照的に、7月の参議院選において、日本全国で保守系71.1%vsリベラル系28.9%という結果のみならず、教育・多様性など何においても集中しがちな東京都でも、全国をしのぐ保守系75.2%vsリベラル系24.8% [詳しくは#123]。この保守支持率が、インクルーシブな教育が行き届いていないアメリカの地方・田舎と似ているのは、もはや納得がいきます。 アメリカの都市部が圧倒的にリベラルなのと比較して、日本・東京およびアメリカの地方・田舎が圧倒的に保守なのは、インクルーシブな経験の違いが、最大の理由なのです。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(6)【集まらない原因1】 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(4)【大学受験】 同じテーマを読む:多様性/インクルーシブ 【大学受験】 人権意識を育む「教育と多様性」は、事実に裏付けられたエビデンスをベースとして、自分の頭でしっかりと考えられる・更にはそれを行動に移す能力を身につけることを、最も重要としています。それらが備わった環境で学ぶことが、「保守的な発想」から抜け出し、「リベラルな発想」へのきっかけをつくります。 そこで、日本の教育を見てみましょう。 ひと言で表すと、日本の教育制度は教育委員会を通して「国が教えたいことを、国が教えたいように」教育するシステムです。[詳しくは#25] その日本の教育は、記憶力ベースの能力を身に着けるには、とても優れています。元をたどれば、約2000年前に中国から日本へ伝わってきた記憶力ベースの漢字システムや、2500年前の中国に生きた孔子の教えが、儒教として、日本を含むアジア広域に受け入れられた歴史に起因するのでしょう。 「優れた指導者に従い、生きなさい」とする儒教の基本的な教えをもとに、庶民は自分の頭で考えるよりは、むしろ考えない方が、「優れた指導者たち」の指示に従ってくれる。それに適しているのが、記憶力ベースの教育になってしまったようです。 例えば、戦後の焼け野原からの復興を支えた高度経済成長期において、そこそこな商品を低コストで大量生産するには、この教育は最適でした。「優れた指導者たち」とされる政治家から、企業トップへ指示が下りて、その指示通りに動く労働者が大勢必要とされる時代だったからです。 とても残念なのは、時代は移り変わり、世界はどんどん進歩しているのに、日本の教育はそこからあまり前進していないこと。良くても・悪くても「昔ながら」を保守するのに固執しているとも言えるでしょう。 そして、寝る間も惜しんで塾に通い、ひたすら詰込み型の暗記が得意な学生を「自頭が良い」とか「知識豊富」などと高評価する、記憶力ベースの大学受験。「受験には役に立たないから」とされる活動はほぼ切り捨てられ、もっと幅広い社会活動から学ぶことによって身に着けられる知的・情緒的・社会的・創造的といった多角的な能力が習得しづらくなる。 なので、事実に裏付けられたエビデンスをベースにできず、自分の頭でしっかりと考えられない・行動に移せない人を育てがちになる。 それとは対照的なのが、アメリカの都市部で広く受け入れられるホリスティック教育です。 ひと言で表すと、アメリカの教育制度は学校ごと・教師ごとにカリキュラムを作る自由度が高い教育システムです。 それゆえ、同じアメリカ国内であっても、都市部で広く受け入れられるホリスティック教育と、地方・田舎で受け入れられる教育が、まったく違うという事象が起こります。 ホリスティック教育で、とても重要とされているのが、学校の成績や共通テストの点数のみならず、課外活動・部活・ボランティア・インターンシップ・起業など、社会活動です。単なる見せかけではなく、実質の伴った経験が、大学受験での高評価にもつながります。 ここに、性別・人種・民族・出身・家庭環境など、多様性を歓迎する環境で学ぶことを加えたのが、インクルーシブ教育です。 多くのアメリカの大学が、世界中から多彩な背景の人たちを歓迎する環境を整えようとするのは、インクルーシブ教育を大切にするからこそ。 「けど、学校の成績・共通テストの点数が高い人を落として、低い人を合格させるのは、不公平でしょ。」記憶力ベースの大学受験が公平だとする人たちから、よく聞かれる意見です。 けれども、ホリスティック教育は、学生の評価は成績・点数だけでは測れないと理解します。 ほんの一例に過ぎませんが、たとえば、経済的に困窮する家庭で育つ学生は、親が朝早くから夜遅くまで働いて、やっとの思いで日々の生活が保てることも多い。なので、家計を助けるためにバイトに明け暮れ、幼いきょうだいの面倒をみるのに長時間かかり、とても、優れた塾に通ったり、優秀な家庭教師に教わるような、時間もお金もない。 他方、経済的にゆとりのある家庭で育つ学生は、生活面は親がすべて整えてくれて、優れた塾に通ったり、優秀な家庭教師に教わるような、時間もお金もある。 そもそも、経済的に困窮する家庭で育つ学生の成績・点数が低くなりがちな社会構造になってしまっていることを、インクルーシブ教育は理解します。ですので、一律的な基準ではなく、それぞれの学生の状況・個性・人格を、できる限り捉えた評価を目指します。 「公平な選考のために、全員に同じ試験を受けてもらいます。あの木に登ってください。」
(作者:不明) 日本とアメリカの都市部における大学受験がこれほど違うと、小中高校で教える内容も、取り組む姿勢も違ってくる。また、教師自身の育成方法・教え方・考え方にも違いが生まれます。 インクルーシブ教育を大切にする程、もっと幅広い知的・情緒的・社会的・創造的といった多角的な能力を意識して育むようになります。 そして、大学入学前の段階で既に、学生たちのもつ人権意識・多様性への寛容さ・社会活動への積極性、さらには事実に裏付けられたエビデンスをベースとして、自分の頭でしっかりと考えられる・それを行動に移す能力にも違いが生まれがちになる。 それらが「保守的な発想」から抜け出し、「リベラルな発想」へのきっかけをつくる。 これが、アメリカの都市部が圧倒的にリベラルなのと比較して、なぜ、世界的大都市と呼ばれる東京は圧倒的に保守なのかの、最大の理由でしょう。 次回は、データを用いて、この考察をより深めたいと思います。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(5)【インクルーシブ経験】 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(3)【教育と多様性】 同じテーマを読む:多様性/インクルーシブ 【教育と多様性】
前回も紹介した通り、
さらに、州全体で保守系が当選した、いわゆる田舎的なイメージをもつ州内であっても、
これらが示すように、アメリカの都市部が圧倒的にリベラルなのと比較して、なぜ、世界的大都市と呼ばれる東京は圧倒的に保守なのでしょう。 都市部が重要な指標になるのは、世界中の傾向として、人・教育・仕事・多様性など、何においても都市部に集中しがちだから。東京・一極集中が際立つ日本では、なおさらです。 そこで、人権意識を育む「教育と多様性」に着目してみます。 より具体的には、人権意識を育む「教育と多様性」が充実する程、人びとは、
・・・などに流れにくい。そして、良くても・悪くても「昔ながら」を保守しようとする=「保守的な発想」から遠ざかる傾向があります。 また同じく、人権意識を育む「教育と多様性」が充実する程、人びとは、
・・・などに賛同しがちになる。そして、昔ながらの良き部分は守り・悪しき部分は変えてゆく「より良い明日」へ前進しようとする=「リベラルな発想」へ近づく傾向があります。 ここでいう「保守的な発想」から「リベラルな発想」へのシフトは、たとえば次のような例を意味します。
人権意識を育む「教育と多様性」は、事実に裏付けられたエビデンスをベースとして、自分の頭でしっかりと考えられる・更にはそれを行動に移す能力を身につけることを、最も重要としています。それらが充実する程、人びとは「保守的な発想」から遠ざかり、「リベラルな発想」へ近づく傾向があります。 もちろん、どの国においても、優れた教育を受ける機会がなかった人であっても、事実に裏付けられたエビデンスをベースとして、自分の頭でしっかりと考えて行動に移せる人はいます。 他方、どの国においても、エリートと呼ばれる大学で教育を受けた人であっても、事実に裏付けられたエビデンスをベースにできず、自分の頭でしっかりと考えられない・行動に移せない人もいます。 特に問題なのは、せっかく誰もが羨むような大学で教育を受ける機会に恵まれた人であっても、そこで培った能力を、自分の利益を最優先するために抜け道を探したり、自分に都合の良い解釈をひねり出したりすることに、せっせと利用する人でしょう。 けれども、それらをもってしても、大きな傾向を忘れないようにしたい。 それは、人権意識を育む「教育と多様性」が備わった環境で学ぶことが、「保守的な発想」から抜け出し、「リベラルな発想」へのきっかけをつくるということ。 ここから、アメリカの都市部が圧倒的にリベラルなのと比較して、なぜ、世界的大都市と呼ばれる東京は圧倒的に保守なのかが、見えてきます。 次回は、日米の教育・多様性をふまえて、この考察を深めたいと思います。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(4)【大学受験】 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(2)【都市部でさえ】 同じテーマを読む:多様性/インクルーシブ 【都市部でさえ】
7月の参議院選挙は、42.2ポイント差もあけて保守系が当選。そして、軍国主義を彷彿とさせる言動が目立つ参政党が、得票数で自民に次ぐ2位につけました。[詳しくは前回] この保守化は、今に始まったわけではありません。なぜ、多くの日本国民が、それら保守系政党を選び続けるのでしょう。 その手掛かりとなるデータが、都市部にあります。 都市部が重要な指標になるのは、日本のみならず、世界中の傾向として、人・教育・仕事・多様性など、何においても都市部に集中しがちだから。なかでも日本は、いよいよ東京・一極集中に拍車がかかっている。 その東京都における、参議院選挙の当選者計7名。その7名を取り上げてみた得票率は、
何と、東京都では50.3ポイント差もあけて、保守系が当選。これは、日本全国をしのぐ保守傾向を示しています。 ここに、アメリカと真逆の構図が見て取れます。 前回も紹介した通り、同じ保守系の当選でも、前回のアメリカ大統領選は僅か1.5ポイント差。 しかも、いわゆる都会的なイメージをもつ州であればある程、リベラルな人たちが多い。他方、これらの州内といえども、アメリカは広大な土地があります。その大部分は地方・田舎の雰囲気があり、都市部は面積としては限られる。 そのことからも、同じ州内であっても、都市部では人口密度が高く、多様性にあふれて、仕事・教育面においても充実し、リベラルな人たちが多い一方で、地方・田舎では正反対というのが、アメリカの特徴といえるでしょう。 都会的なイメージをもつ州とその都市部における得票率も、それを裏付けます。 ーーーーーーーーーー ニューヨーク州:トランプ44% vsハリス56%→12ポイント差でリベラル系当選
カリフォルニア州:トランプ38% vsハリス58%→20ポイント差でリベラル系当選
マサチューセッツ州:トランプ36% vsハリス62%→26ポイント差でリベラル系当選
米国全体(1.5ポイント差で保守系が当選)とは違い、これらの州ではリベラル系が当選しています。しかも、都市部は圧倒的にリベラルであることを示しています。 ーーーーーーーーーー さらに、州全体で保守系が当選した、その多くがいわゆる田舎的なイメージをもつ州であっても、この都市部の傾向は見られます。これらの州にある大都市の数は少ないですが、その代表格がこちら。 ルイジアナ州:トランプ60% vsハリス38%→22ポイント差で保守系当選
テキサス州:トランプ56% vsハリス42%→14ポイント差で保守系当選
ジョージア州:トランプ51% vsハリス49%→2ポイント差で保守系当選
日本全国(42.2ポイント差で保守系が当選)、ましてや東京都(50.3ポイント差で保守系が当選)とはまったく逆のリベラルな構図がアメリカの都市部にはあるのです。 ーーーーーーーーーー ちなみに、米国で最も保守的な州は、すべて地方・田舎にあります。 ワイオミング州: 46ポイント差で保守系当選 ウェストバージニア州:42ポイント差で保守系当選 アイダホ州: 37ポイント差で保守系当選 (東京都: 50.3ポイント差で保守系当選 ) それでも、東京都ほどの差をあけて、保守系が当選したアメリカの州はありません。 世界的大都市と呼ばれる東京が、なぜ、これ程までに保守的なのでしょう。 次回は、そこをさらに深めたいと思います。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(3)【教育と多様性】 前回を読む:戦後80年、日本の大問題(1)【人びとの選択】 同じテーマを読む:ある視点 【人びとの選択】
その国の選挙において、どの政党・候補者に投票したのか。そこから、国民の様子が見て取れます。すなわち、人びとの考え・意識・姿勢です。 昨年10月の衆議院総選挙において、自民党はいつもに比べれば大敗したと言われてはいるものの、それでも第1党であることに変わりなく、政権を担い続けています。[詳しくは#116] そして、先月の参議院選挙も、似たような結果でした。 参議院選の得票率は(カッコ内は前回の衆議院選)
実に、42.2ポイント差もあけて、保守系が当選。これは、前回の衆議院選の25.0ポイント差から、さらなる保守化を示しています。 ちなみに、前回のアメリカ大統領選の得票率は
同じ保守系の当選でも、日本の25.0~42.2ポイント差と比較して、米国は1.5ポイント差。 この僅差が、多くの米国市民のみならず、世界中のリベラルな人たちの希望になっています。それは、前バイデン政権のように「次はリベラル」という期待につながるから。 日本の参議院選に話を戻すと、その中でも、特に警鐘を鳴らすのが、戦前・戦中の軍国主義を彷彿とさせる言動が目立つ参政党が、得票数で自民に次ぐ2位につけたこと。 得票上位5政党は
終戦80年の今年、戦争の悲惨が薄まり、人権意識を軽んじる多くの人びとの考え・意識・姿勢が透けて見える、とても残念な結果です。 なぜなら参政党は、浅はかなトランプイズムを真似るかのように「日本人ファースト」を主張し、排外主義・ナショナリズムを前面に押し出し、根拠のない陰謀論や反ワクチンを吹聴し、女性・外国人・LGBTQ差別を繰り返しているから。 そして、軍国日本を造り上げた教育勅語の義務化を推奨し、天皇を敬愛する家族国家が「国体」だと押し付け、過去の侵略戦争・加害の歴史を否定し、憲法から平和主義を削除し、お国のために戦争で人を殺すことを美化するから。 これらは、強制的な権力により従わせようとするファシズムにもつながります。まさに、かつての軍国日本のように、戦争ができる国に戻すことを目指していると言えるでしょう。 [詳しくは#84] 今までも、自民のほとんどの主要議員がメンバーになっている日本会議や、少し前まで躍進していた日本維新の会も、似たような主張を繰り広げています。[詳しくは#65] それでは、なぜ、多くの日本国民が、それら保守系政党を選び続けるのでしょう。 次回は、そこを深めたいと思います。 続きを読む:戦後80年、日本の大問題(2)【都市部でさえ】 同じテーマを読む:暴力/平和 現在も続くガザ地区におけるイスラエル軍の攻撃について、様ざまな意見が飛び交っています。イスラエル軍によるジェノサイドを糾弾するものから、ひたすら擁護するものまで。
けれども、感情に流されず、ノイズに惑わされることなく、恵まれない境遇にある人たちへの思いやりと寄り添う心をもって、この事態をしっかりと捉えたならば、真実はおのずと見えてきます。 何があっても、暴力はダメ。 現実として、それは、とても辛いこと。難しいこと。 なぜなら、愛する人たちが殺されても、それでも「殺し返せ!」はダメだから。 次は自分が殺されるかも知れなくても、それでも「だったら先に殺してしまえ!」はダメだから。[詳しくは#103] 約1千人:2023年10月7日、テロ組織ハマスによるイスラエル攻撃により命を奪われたイスラエルの人たち。その殆どが民間人。 約5万6千人(うち、子ども1万7千人):それ以降、イスラエル軍によるパレスチナ攻撃により命を奪われたパレスチナの人たち。同じく、その殆どが民間人。 1千人を殺してはいけないし、また、先にそうされても、5万6千人を殺していいことにはならないし、1万7千人の子どもたちを殺していいことにはなりません。 殺してはいけないし、また、先にそうされても、殺し返していいことにはなりません。 負傷者、生活・人生が破壊された人たちを含めると、悲しみはさらに倍々式に増えます。 思いやりと寄り添う心をもったならば、真実は明らかになります。 とても辛くて、難しいけど。 何があっても、暴力はダメ。 同じテーマを読む:暴力/平和 【自分自身が問われてる】
身をもって体験しなければ、トランプイズムの卑劣さが解らないという意味においては、今回のカナダの総選挙も良い事例でしょう。 先ず結果だけを見ると、カナダ版トランプイズムを推し進めた保守系が敗北したことから、4月の総選挙は良い結果でした。 けれども、内情は必ずしもそうとは言えません。 現に、アメリカでトランプが就任する1月までは、カナダの保守系がリベラル系を大差でリード、世論調査では30ポイント近くも広がっていました。その保守系のリーダーはミニトランプとまで呼ばれる程、自国優先・移民反対など、トランプイズムと似たような卑劣な政策を掲げていました。 けれども、一方的な関税や「アメリカの51番目の州にしてやる」など、いざトランプイズムの矛先がカナダへ向けられると、カナダ国民は、その卑劣を身をもって体験することに。 そうすると、自国のミニトランプがどれほど酷いことを外国人に対してすると言っているのかが、いよいよ実体験を通じて、現実味を帯びてきます。そして、みるみる情勢は逆転、その3か月後の総選挙でリベラル系が勝利。ミニトランプ自身が、自らの選挙区で落選するまでに一変しました。 卑劣な政策の被害を、身をもって体験すること。あるいは、体験とまではいかなくとも、現実味を帯びるだけで、これほどの変化をもたらす。結果オーライと言いたいところですが... 願わくば、そこまで待たなくとも、他者の苦しみを理解できる大人でありたい。 なぜなら、被害を受けてみて初めて解るのでは、遅すぎることもあるからです。 例えば、第二次世界大戦におけるナチスや軍国日本が巻き起こした、侵略戦争の大惨事。最終的に自らが被害を受けてみて解ったのでは、あまりに遅すぎた事例でしょう。 現在、そのナチスや軍国日本を彷彿とさせるファシズムがトランプイズムです。 そして、いよいよネオナチスをあからさまに支持したり、ナチス式敬礼をしたりと、トランプイズムは、ナチスのシンボルマークであるハーケンクロイツを、赤い帽子に置き換えたに過ぎません。 脅すことで、政権に対する批判の声をあげさせない。それはまるで、ロシアのプーチン政権のようであり、中国の習政権のようです。 共通するのは、このどれもがファシズムであるということ。 「民主主義が問題だ」とか、「社会主義・共産主義が問題だ」とか、よく耳にしますが、そうではありません。もちろん、それぞれに課題はあります。 けれども、本当に深刻な問題は、どの社会システムであっても「強制的な権力により従わせようとするファシズム」に乗っ取られてしまうこと。 そのファシズムの下に置かれると、人びとはどうなってしまうのでしょう。 権力者に批判的になると仕返しが怖いし、周囲の目も気になるので、賛同しておく。あるいは同じ理由でおとなしく、何もしない。 それとも、良くないことは良くないと、それが権力者に対してであっても、周囲の目が気になろうと、当たり前のことを当たり前のように言える、勇気と信念を持つのか。 今も昔も、同じ勇気と信念が求められています。 最後にもう一度、8年前にこのブログで書いた言葉を引用し、締めくくります: 「最悪の状況にいる時は、果てしなく続く暗いトンネルの中に、一生いるのではないかと思うこともあるでしょう。けれども、それはいつかはきっと過ぎ去るのです。過ぎ去った後の自分自身を、今この時に問われているのではないでしょうか。」 [詳しくは#2] 前回を読む:卑劣なトランプイズム(2)【身をもって体験】 全シリーズ:卑劣なトランプイズム(1)~(3) [1] [2] [3] 同じテーマを読む:倫理観 |
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