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【逆差別】
差別問題について会話をしていると、よく耳にする言葉があります。 「逆差別」とは、マイノリティの人たちを優遇し過ぎるがあまり、逆に、マジョリティの人たちが差別をされるということ。 それは、多数派と少数派はそのままの状態で、「差別をする側の人」と「差別をされる側の人」が入れ替わるだけということ。「差別」であろうが、「逆差別」であろうが、入れ替わっただけでは、生まれながらの特徴によって、理不尽な除外や拒否を受け、傷つけられる人たちは存在したままになってしまう。そうであるからこそ、どちらも問題の解決にはならず、あってはならないのです。 一方で、この「逆差別」という言葉は、「入れ替わっただけでは解決にはならない」とする理由ではなく、本当のところは異なる理由で、使われるケースが目立つのではないでしょうか。 それは、遠い昔の時代から現在の世界に至るまで、多くの場合、マジョリティが構造的に優遇される社会になってしまっている。それを少しづつでも改善して、すべての人たちにとってよりフェアな社会を目指すどころか、むしろ、今後もその「マジョリティ優遇」を死守するために「逆差別だ!」という掛け声のもと、主張されているように思われるのです。これでは、意識的かどうかは別にして、表面上は正当な響きのある言葉を用いて、根底では不当な現状を変えないことになってしまいます。 例えば、社会・経済など多くの面において、男性が構造的に優遇されているのは、疑う余地のない事実でしょう。歴史や文化を背景に、これまでの慣行や固定的な性別の役割分担意識などが、私たちの社会構造に深く根付いてしまっている。そして、たとえ女性の能力が優れている場合であっても、女性は男性よりもその能力を発揮し難い境遇にあることが多い。 これは統計においても、はっきりと表れています。例えば、米国労働省によると、アメリカにおける女性の平均給与は、男性平均値の82%にしかならない。経済協力開発機構(OECD)によると、日本における女性の平均給与は、男性平均値の75%にしかならない。仮に、日本の男性に500万円の給料を支払う場合、日本の女性には375万円しか支払われないのです。 何もアメリカと日本だけではありません。OECDによると、調査対象41カ国すべてにおいて、例外なく、女性の平均給与は、男性の平均給与より低いのです。 これらの数値が伝えているのは、世界中の女性が、生まれながらの特徴によって、理不尽な除外や拒否を受け、傷つけられているという事実です。このような差別を防ぎ、そして、なくすためには、女性の給与・昇進を、類似する仕事で似たような成果を収めている男性と平等にすること。 これは、女性社員と男性社員の「入れ替え」でもなければ「逆差別」でもない。とてもシンプルに、誰であろうが、類似する仕事・成果に対して、平等な報酬にするということ。 しかし、これを「逆差別だ!」という人もいるようです。会社の財源には限りがあるので、ある女性社員の給料を上げると、結果として別の社員の給料を下げることになり、その社員が男性であった場合「逆差別だ!」というのです。例え、その女性社員の給料が、その男性社員の給料より25%も低かったとしても。また、それが昇進の場合であっても、会社の役職数には限りがあるので、同じようなことで「逆差別だ!」というのです。 そして、このような「逆差別だ!」という主張が、「性別」や「人種」などを焦点として、有名大学や就職などの合否においても、あちらこちらで聞かれます。 けれども、ここで、よく考えてみてもらいたい。 そもそも、今この世の中に存在する差別を解消するために、似たような成果に対して平等な報酬にすること自体が「逆差別だ!」とするのならば、似たような成果に対して不平等を保つことしかできなくなります。 これでは、もはや「マジョリティ優遇」をそのまま保つしかなく、そもそも、今この世の中に存在する「生まれながらの特徴によって、理不尽な除外や拒否を受け、傷つけられている人たち」を、そのままにし続けるしかないことになってしまう。 差別に苦しんでいる人たちに寄り添い、差別をなくし、そして、世界の平和を築きたい。そう願うのならば、私たち一人ひとりが、この不当な現状を変える一員でありたい。 続きを読む:差別をなくす(11)【特権意識】 前回を読む:差別をなくす(9)【地区限定であっても】 全シリーズ:差別をなくす(1)~(12) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] 同じテーマを読む:差別 Comments are closed.
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