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#40: 差別をなくす(第2回)

1/18/2019

 
【外に出てみる】
大切なことは、一人ひとりを個人として認め、そして、その人にしっかりと向き合うこと。そうすれば、乱暴にひとくくりにしてしまうことが、とても視野が狭く、浅はかで、差別的になりがちだと気が付くでしょう。
 
そう、気が付くこと。そのためには、心躍るほど広い世界や、鮮やかなまでに多種多様な文化を、自ら体験することがとても重要です。自分の所属するコミュニティの居心地がどれほど良かったとしても、そこに閉じこもっていると、差別についての教育や認識も、多様性を受け入れる姿勢も、「違い」の素晴らしさを体感することも、日常的に不足してしまいがちです。
 
また、例えば、外国や異文化から来た人が自分の職場やコミュニティにいて、日常的に接していたとしても、それはあくまで「自分の領域」に来てくれている他者と接しているのであって、その他者がマイノリティとして、マジョリティである「自分の常識」に合わせてくれていることを忘れてはいけない。
 
そうではなく自分が海外に出てみて、縁もゆかりもない土地に行ってみて、そこに根ざした生活をしてみる。それは「他者の領域」において、「他者の常識」の中で生活をしてみるということ。
 
そこには、今まで自分が生きてきた世界がひっくり返って見えるような、そんな景色すらあるかも知れません。文化や言葉の壁にぶつかり、そこでもがき苦しみ、そして考えを深めることにより、本当の意味でマイノリティの屈辱やマジョリティの卑怯を、初めて知ることがあります。広い世界に踏み出してみて、初めて自分自身や自国の現状が、多角的に見えてくることがあります。

「差別」を本当の意味において理解するには、先ずは自分自身がマイノリティになってみること。その気になれば、それは多くの人に出来ることなのです。
 
そうすることで、今まで「見えていた」ものが、実は「見えている気になっていた」だけだったことに気が付くこともあるでしょう。そして、今まで「見えなかった」ものが、見えるようになる。それが「人としての幅を広げる」ということではないでしょうか。
 
幅を広げれば、人は「違い」を受け入れる寛容さを持ちやすくなります。「自分とは考えや行動パターンが違うけど、それも良いのではないか」と考えやすくなります。
 
そう、皆が皆、同じような考えや行動を押し付けられたなら、それこそ旧式ロボットのようであり、ムラ社会の一員のようであり、軍国主義における抑圧された国民のようでもある。「同じ」から逸脱することは許されず、逸脱した者は排除される。そのような「同じ」は、結果的には分断を招き、そして分断は、差別や戦争を招くことさえある。「村八分」と呼ばれる差別や、人殺しに協力しない人たちを「非国民」と罵った差別なども、そうであるように。
 
なぜ「同じ」が分断を招くのでしょう。それは、「自分らしい生き方をしたい」と多くの人が望むからです。だからこそ、人は自由であるほど、一人ひとりの幸せのためには、少なからぬ不自由をも受容するのかも知れません。それは、多様性は一致をもたらし、同一性は分断をもたらすということでもあります。
 
違いを受け入れる姿勢を持つことにより、差別を招かず、日本の美徳とされる「和を大切にする心」を得る。多様な背景の人たちを迎え入れて、一人ひとりのより良い明日へ向けて、皆で話し合い、協力し合う、本物の「和」。差別のように、一部の人たちを犠牲に、あるいは排他して、集団を大切にする「悪しき和」ではなく。
 
人としての幅を広げ、より広い視野を持つことができたなら、マイノリティの気持ちを思いやり、違いの素晴らしさに気付き、多様性を歓迎し、そして、差別をなくすことはできるのではないでしょうか。そのために、外に出てみませんか。

続きを読む:差別をなくす(3)【迷惑って?】
前回を読む:差別をなくす(1)【常識って?】

全シリーズ:差別をなくす(1)~(12)
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