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#47: 差別をなくす(第9回)

6/8/2019

 
【地区限定であっても】
世界中でみられる、〇〇地区や△△タウンと呼ばれる、それぞれに独特な個性を誇る、色とりどりな街々。世界・国・都市など大きな単位においては、日頃は少数派であるマイノリティの人たちであっても、その独特な街の中だけに限れば、マジョリティであったりすることは、稀ではありません。
 
ニューヨークにある、ハーレム地区やチャイナタウン。あるいは、新宿二丁目やサンフランシスコ・カストロ地区にある、LGBTQタウン(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Queer)など。日頃はマイノリティであっても、そこでは、その独特な街の中だけに限れば、マジョリティであるということ。例えば、アフリカ系アメリカ人の人口比率は、米国全体において12%のマイノリティであるにもかかわらず、ハーレム地区に限定すれば61%のマジョリティであるように。
 
また、これらと似たような「地区限定」の状態は、「街」のみならず、場合によっては「小さな村」や「家族」といった単位でさえもあり得るでしょう。日頃はマイノリティの人たちが、「村」や「家族」の単位においては、「地区限定マジョリティ」であるということ。それは、世界・国・都市など大きな単位においては、ある人の持つある特徴が少数派であっても、その人の村や家族の中だけに限れば、その同じ特徴が多数派であるということ。
 
そのような中で、「ここでは、我々のルールに従ってもらう」とか、「イヤなら出ていけ」など。まるで、日頃はマイノリティとして差別をされている、そのうっぷんを晴らすかのように、ややもすれば理不尽な要求を「地区限定マイノリティ」の人たちに押し付け、そして、横暴に振る舞ってしまう。しかし、このような理不尽な除外や拒否によって、人を傷つけてしまうことは、差別になってしまいます。
 
その独特な街の中であれば、マジョリティとして、そのコミュニティの「常識」を数の力で押し通せてしまうからでしょうか。例え、それが、世界的な広い視野で捉えれば「常識」ではないことであっても。
 
それは、生まれながらに差別をされ続け、うっ積した悔しさや怒り、そして悲しみが、そうさせることもあるのでしょう。そのような背景があるという事実を、理解しようと努力すること。それも「差別」を考えるうえで、重要ではないでしょうか。
 
けれども、このままでは、屈辱と悲しみをもたらした差別の本質を、見失うことになりかねない。その「地区」の外側では、自分が身をもって差別に苦しんでいるにもかかわらず、その「地区」の内側では、他者に対して差別をしてしまう矛盾。
 
それは、例え「地区」という小さな単位の中だけに限られていたとしても、立場が逆転して、自分がマジョリティにさえなってしまえば、手の平を返したように、自分が差別をするということ。この考えは、「自分さえ差別をされなければ、差別は問題ではなく、さらには、自分が自ら差別をする」という、差別そのものを肯定することにもなってしまう。
 
悲しいことに、差別をされた恨みや憎しみの感情は、その「地区」の外側に足を踏み出した後でも、尾を引いてしまうことがあるでしょう。「あいつら、あそこでは大きな顔をしてやがるけど、こっちに来たら、思い知らせてやる」といった醜い感情が双方に沸き起こり、世の中の差別をさらに増幅させてしまうのではないでしょうか。
 
しかし、独特な個性を誇る、色とりどりな街々は、私たちに「違い」の素晴らしさに気付かせてくれ、多様性を歓迎することを教えてくれる、特別なポテンシャルを備えています。それは、世界の平和を築くうえで、欠かせないことでしょう。
 
そう考えたならば、たとえ「地区限定」であったとしても、「差別をする側の人」と「差別をされる側の人」が入れ替わっただけでは、差別はなくならず、世界の平和は築けない。そう気が付けたなら、差別は防げるのではないでしょうか。

続きを読む:差別をなくす(10)【逆差別】
前回を読む:差別をなくす(8)【入れ替わっただけ】

全シリーズ:差別をなくす(1)~(12)
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    JOE KIM
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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