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「親孝行」
この言葉を聞いて、あなたは何を思いますか? 子の立場からは、「やばい、できてない」とか、「本当はもっとするべきだけど、忙しすぎてね」とか、「忙しいなかで、やれることはやってるよ」とか、「同居して介護までしてるんだから、充分すぎる程やってるよ」といった意見が割りと多いのでしょうか。 親の立場からは、「多少はやってもらってるけど、自分が親に尽くした時と比べると、全然足りないね」とか、「充分やってもらってるが、赤ちゃんの時から面倒みてやったし、相続で家や財産を譲るのだから、してもらって当然だ」とか、「まだまだ幸せじゃない、もっとしてもらいたいね」といったところでしょうか。 どうもこの「親孝行」という言葉は、不思議なことに、子を窮屈な立場へ追い込み、親のエゴを引き出すことが、よくある気がします。 それは、どうしてなのでしょうか。 それは、「親孝行」とは、子が親の幸せのためにすることだと、どこからともなく教えられてきたからかも知れません。 幼い頃から、親本人や、親戚のおじさんやおばさん、学校の先生、はたまたテレビドラマなど。やたらと「親孝行しなさい」と強要されたり、親のために尽くしたりすると「親孝行してえらいね」と褒められたり、成功者は「親孝行者だ」と、親が鼻高々に自慢できる子が褒めたたえられたり。はたまた、ようやくとれた久々の休みに、田舎の両親に会いにいくことを優先しなければ、理由はともかくとして、「親不孝者」という恐怖のレッテルを貼られたり。 けれども、「親孝行」とは、本当は、子が成長し、一人の人間として責任ある社会の一員となり、幸せな大人になることではないのでしょうか。 幸せとは、一人ひとりの個人が本人の基準で、決めて感じることです。したがって、子の幸せは、子自身の基準で感じるものであって、親の基準に沿って決められることではありません。親の幸せも、またしかりです。 親には、子を産むと決めた時から、その子をしっかりと愛して育てる責任があります。それは、まぎれもなく親の責任であり、すべきことなのです。将来、親が歳をとった時に、お礼として子に世話をしてもらうために、してあげることではありません。 そして、子が幸せな大人になった時に、今度は自分自身が親の立場になることを、多くの場合は選択します。その場合も、子を産むと決めた時から、親としての責任を引き受けるのです。そして、その子もまた、責任ある社会の一員となり、幸せな大人となることが、「親孝行」なのではないでしょうか。 「親孝行」とは、子が自らの力で立ち、自らを律することができるようになり、そして自ら幸せな大人になるということ。それが、すなわち、親が子育てをする目的の達成だから、「親孝行」なのです。 もし、親のために尽くしてくれることこそが「親孝行」だと考えているのならば、親が子育てをする目的は、「親に尽くしてもらうため」だと言っているようなものです。 「それだと、大変な苦労と犠牲をはらって子育てをしたのに、報いがまるでないじゃないですか」と言う方々もいます。 けれども、それではまるで、子育ての見返りや恩返しを、要求しているようにも聞こえます。 もしも、子育てに見返りがあるとするならば、それは子が育つ過程にあるのでしょう。赤ちゃんから幼少期、少年期から思春期、そして成人するまでの過程に、心の充実を子は親に提供しているのです。それは、可愛さや愛おしさ、安らぎや笑い、時に苛立ち、たまには心配、そして多くの学びにあるのです。 子は、生まれてから成人するまでの間に、親へのすべての恩返しをしているのではないでしょうか。「子は3歳までに一生分の恩返しをする」という言葉もあります。それに気が付くことができるかどうかは、親次第なのです。残念ながら、古今東西、それに気が付けずに子が巣立ってゆくケースが、多いように思われます。 親が、子の幸せのために、子を産み、子を育てるのです。 子が、親の幸せのために、何かをするのではないのです。それだと、あべこべになってしまいます。そして、恐ろしいことに、この様なあべこべは、親からの支配や虐待など、それが世代をまたいで連鎖してしまう、「毒になる家系」につながっていきます。 人が幸せになるのは、大人になったら最終的には、自分の責任です。親は、子が自ら幸せになれるために、「子育てというお手伝い」を、子が成人するまで責任をもって全うするのです。 そして、その後は、親子がお互いとどの様な人間関係を望むのかは、大人の人間同士、自由に、正直に、それぞれに選択するのではないでしょうか。 同じテーマを読む:家族 Comments are closed.
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