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#57: 支援の現場より(第2回)

1/25/2020

 
【就職支援】
就職支援プログラムは毎週の実施で、その内容は大きく分けてふたつ。
 
ひとつ目は、履歴書の作成。とはいっても、単なる事務的な書類の作成は、目指すところではありません。むしろ、一人ひとりの参加者と向き合い、職歴や学歴をじっくりと聞くことを大切にしています。参加者の人数が多い日は難しいこともありますが、なるべく、そう心掛けています。
 
どのような仕事をしていたのか。その仕事は好きだったのか。なぜ、辞めることになったのか。前職から得たスキル・技術・免許は、次に活かせそうか。遠く離れた所から移住してきた人たちには、なぜ、はるばるここまで来たのか。今後は、どのような仕事に興味があるのか、など。
 
「会社が倒産して、無職になってしまった。無断欠勤を続けてしまい、ある日いよいよクビになった。トラックの運転免許を持っているので、それを活かしたい。50代まで大工をしていたが、仕事中にハシゴから転落して背骨を骨折、下半身麻痺で車イス生活になってしまった。」
 
「子どもをチャイルドケアに預けられるようになったので、仕事を再開したい。離婚を機に、また働きたい。10代で妊娠して、高校を中退してから、5人の子どもを育てる日々に追われた。精神疾患を患っており、突然パニック発作を起こして、仕事が続けられなくなる。」
 
「夫からの暴力に耐えられず、子どもたちは自分の親に預けて、着の身着のまま逃げてきた。だから早く仕事を見つけて、すぐにでも子どもたちを呼び寄せたい。子どもが重い障害を抱えており、より良い治療を無償で受けることができる病院にかかるため、遠方の地元を離れ、一家でこちらに移り住んだ。けれども、慣れない土地では思ったようには仕事が見つからず、とうとうホームレスになってしまった。」
 
「会社の上司を殴って、クビになった。逮捕されて、刑務所に入っていた。薬物中毒になって、人生が破滅した」、など。
 
なかには、トップ水準の成績でロースクールを卒業後、弁護士事務所で活躍。資金を貯めて個人で開業までしたのに、離婚をきっかけに麻薬に溺れ、子どもふたりを抱えて、路上生活になってしまった人も。「仕事や勉強はできるんだけど、人生の選択が上手くできない」と、本人が嘆いていたのがとても悲しく、印象に残っています。
 
そして、多くの人たちから聞かれるのが、親との確執です。

​「親が離婚して、ひとり親家庭に育ち、結果的にネグレクトだった。両親の仲が悪く、会話もなく、機能不全家庭に育った。親の暴力で、幼少期が耐えられなかった。親が薬物中毒で、家庭がむちゃくちゃだった。そのような親に、今でも振り回されっぱなしだ」、など。
 
履歴書の作成という、かなり地味な作業。けれども、様々な生き方をしている人たちの人生に、少しばかり触れることができます。職歴や学歴というレンズを通して、一人ひとりの生きざまを垣間見ることができます。
 
この同じ世界に暮らす人たちの、それぞれの人生。各々の過去や、その時々の想いを背負って、今ここに生きている人たち。多種多様な背景の人たちですが、ひとつ共通することがあるとするならば、「人間としての尊厳をもって、接してもらいたい」とする、誰しもが持つ、基本的な要求ではないでしょうか。
 
それは、本当に当たり前の要求。それに応えるには、ひとりの人間に対して、同じ人間として、誠実に接すること。とてもシンプルに捉えたならば、ただ、それだけかも知れません。
 
相手の眼を見て、自己紹介をしてから、相手の名前を聞き、しっかりと握手をする。それから、相手の言葉に一生懸命に耳を傾け、「何もできないかも知れないけど、あなたがヘルプを必要とするのならば、自分はその為にここにいる」という気持ちを、自らの姿勢をもって伝えようとする。
 
最初はつれない態度を示す人たちも多いですが、そうしてゆく内に、殆どの人たちの表情はやわらいできます。そして、心に抱える想いを少しづつ語り始めることが、よくあるのです。


続きを読む:支援の現場より(3)【面接指導】
前回を読む:支援の現場より(1)【米国 ホームレス】
 
全シリーズ:支援の現場より(1)~(4)
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同じテーマを読む:現場ルポ

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    JOE KIM
    Retired from business at age 34. Now, an active supporter of inclusive initiatives globally.
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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