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#59: 支援の現場より(第4回)

3/25/2020

 
【ジョブコーチ】
失業、そして、ホームレス。人生どん底の体験、まさにその真っ只中にあることが多い、就職支援プログラムの参加者たち。
 
彼ら/彼女らの気持ちに寄り添う努力を、常に怠らないように心掛けてはいる。それでも、実際に自分自身が経験したわけではない苦しみが、そこには現実として、目の前にあります。その意味において、自分は想像により、寄り添うことしかできない。
 
そのような中で、シェルター職員との共同作業であることが、とても助けになります。なぜなら、就職支援プログラムを共に実施しているシェルター職員は、その多くが元ホームレスの人たちだからです。
 
経緯も様々で、本来であれば希望に満ちた子どもの頃に、親がホームレスになってしまい、家族で路上生活をしていた人。高校を中退して、機能不全な家族のもとを離れ、頼れる大人がいないまま、ホームレスになってしまった人。身体的や精神的な病を抱え、仕事を続けることが出来ず、路上生活になってしまった人。多くのシェルター職員は、そのような状況から脱することを体現した、まさに成功例でもあります。
 
それでも、ホームレスになったことのある人たちの多くは、今でも、その当時のことを、一日足りとも忘れることはないと言います。特に、遊び盛りの幼少期に、あるいは多感な思春期に、理不尽にもホームレスになってしまった人たちは、その悔しさが胸に突き刺さったまま、毎日を生きていると言います。
 
その人たちは体験者として、参加者たちの気持ちが、より鮮烈に分かるのではないでしょうか。体験者の視点は、いかなる現場であろうとも、なければならない。ホームレスになっている人たちの心に寄り添う努力をするうえでも、とても大切です。
 
難しいことは多々ある。繰り返し否定され続けて、それでもなお、ポジティブであり続けることは本当に難しい。けれども、そこでネガティブになっても、何ら自分のヘルプにはならない。そうであるのならば、自分をヘルプするためにも、ポジティブでいよう。
 
終始、まったくやる気のない参加者たちも中にはいます。きっと、その人たちには、それなりの理由や事情があるのでしょう。けれども、面接指導を進める過程において、殆どの人たちの表情は、少しづつ明るくなってきます。そして「この歳になるまで、誰からも、面接について教わることがなかった」と、感謝の言葉を述べる人たちもいます。前を向いて歩んでいけるのではないかと、そう希望を感じる瞬間です。
 
就職支援プログラムを通じて、毎月、20名から40名ほどの参加者たちが、職を得て、新たな人生の道を歩み始めます。そこから、その職に定着し、そして、独立した住居へと進んでゆくのです。
 
世間では、「ホームレス問題は、大きな社会問題だ」と言われることがありますが、「ホームレスの人たち」が問題というよりは、「ホームレスを量産してしまい、その人たちへのヘルプが足りない私たちの社会」に、問題があるのではないでしょうか。
 
それは、多くの場合、生まれながらにして、乗り越え難いほどの「機会の格差」が存在していることを知っていながらも、自分自身の生活はそこそこ安定しているので、恵まれない境遇にある人たちから、もっともらしい理由をつけては眼を背けてしまうこと。見て見ぬふりをしてしまうことに、問題があるのではないでしょうか。
 
確かに、社会的強者になびいたり、そこそこ安定した生活を送れている人たちだけを中心とした社会を続けるのは、とても楽です。周りと波風が立たず、実に心地良い。けれども、それをそのまま維持することを受け入れると、その反対側で、苦しくつらい想いをしている人たちは、社会に声をあまり聞いてもらえない人たちは、忘れ去られ、取り残されたままになってしまいます。
 
今、ここにある現実と向き合い、それが良くない現実であるのなら、それを変えてゆく勇気と行動を起こすこと。たとえ、自分自身がその被害にあってはいなくとも。
 
微力ながらも、私たち一人ひとりの行動が、その現実を変えてゆくことができるのです。

前回を読む:支援の現場より(3)【面接指導】

全シリーズ:支援の現場より(1)~(4)
[1]   [2]   [3]   [4]

同じテーマを読む:現場ルポ

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    JOE KIM
    Retired from business at age 34. Now, an active supporter of inclusive initiatives globally.
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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