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【確実な上昇曲線】
文字を書き始めてから今日に至るまでの5千年間は、人類にとって、まさに山あり谷ありでした。 古代エジプトでは、文字を書き始めた頃には、究極の人権侵害である奴隷制度が既に存在していました。古代ギリシャでは3千年前から、古代ローマでは2千年ほど前からです。 日本の戦国時代における、残忍な殺し合いは600年ほど前。フランス革命により、社会格差の卑劣が認識され、是正され始めたのが200年前。アメリカにおける奴隷制度の非道が認知され、廃止されたのが150年前。同じ頃から欧米を皮切りに、男女平等の意識が芽生え、女性の選挙権が認められる国が増え始めます。 二度の世界大戦による平和の破壊、ナチスドイツや軍国日本による残虐な侵略戦争、アメリカの原爆による大量惨殺など、おぞましい非人道性の数々を起こしてしまったのがおよそ100年前。その教訓から、国連が創設されます。 国連総会にて「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と世界に向けて宣言し、基本的人権が揺るぎない権利であることを認め、奴隷制度の廃絶を可決したのが70年前。同じく国連総会にて、基本的人権保護と世界平和のため、植民地制度の廃絶を可決したのが60年前。アフリカ系アメリカ人たち、マイノリティの公民権が米国にて認められたのが50年前。 このように見てみると、紆余曲折ばかりの印象で、複雑な心境になります。一歩前進したかと思えば、半歩後退する。とてももどかしいですが、しかし、それでも大きな流れを捉えたならば、差し引きしても半歩前進であることに違いはありません。そして、さらに歩を進めてゆけば、半歩が一歩、一歩が一歩半と、少しづつであっても前進します。 ここ最近の世界情勢として、トランプ政権や安倍政権に代表される「自己中心的ポピュリズム」があちらこちらで散見されたり、多くの若者たちがタリバンやアイシス(ISIS)などのテロリスト集団に参加したり。およそモラルの頂点とは程遠い現状です。 それでも人類が野生を経て、書物を残すようになってからの5千年間。人間の尊厳を痛めつけ、暴力と恐怖で支配することが、残虐であり、卑劣であり、愚かであり、許容してはならないという意識は、世界中で確実に醸成されつつあります。 一部の優遇された人たちのみではなく、多様な背景の人たちから様々な生き方をしている人たちまで、一人ひとりの声を反映しようとする世界中の人びとが、その不断の努力を確実に広げつつあります。一部の人たちに対する不当な扱いを圧力によって抑え込むのではなく、公正な裁きを実現しようとする世界中の人びとが、真実の正義をもがきながらも見出す姿勢を、確実に広げつつあります。 世界の多くの国々で、過去とは比較できないほど、幸せで豊かな生活ができるようになりつつあります。人類のみならず、他の動物や自然へも、同じように配慮をもって接する優しさが、育まれつつあります。 私たち人類の歴史を大きな流れとして捉えたならば、人類のモラルが確実に上昇曲線を描いていることに気がつくでしょう。このとても大きな流れは、私たち一人ひとりが受け継いでおり、そして次の世代へ一人づつ引き継いでゆくのです。これからも永く続く道のりです。 その悠久の時の流れを捉えたならば、現在は、およそ完全には程遠く、モラルの頂点は遥か先ですが、それでも、確実に前進しているのではないでしょうか。 私たちは一つの国家の国民である遥か以前から、人類の民である人間です。広い視野を持ち、少しづつでも人類をより高いモラルへつないでゆくことが、私たち一人ひとりの責任なのではないでしょうか。 そのように宇宙の起源や人類の歴史を振り返ってみたならば、文字を書き始めてから僅か5千年余りでここまで来た人類に、そしてこれからの5千年に、心はずむほどの希望を抱かずにはいられないのです。 前回を読む:希望を抱く(1)【一大転機は文字】 同じテーマを読む:倫理観 Comments are closed.
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