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【自律・自立の妨げ】
「自分の将来はもちろん自分次第だけれども、何はともあれ、いずれは親の財産がもらえるので、せっぱ詰まることはないだろう。」 親に財産があり、将来はそれを子に託すことを、それとなく親子で話している。あるいは、言葉にはしなくとも、それを暗黙の了解のように、家族の誰もが信じている。しかし、このような環境は、子の生きる力を身に付けづらくしてしまうのではないでしょうか。 人生の長い道のりにおいて、人はいくつかの岐路に立つでしょう。その勝負の時に、どれだけ自分の力を発揮できるのか。それによって、人の人生は大きく左右されるのではないでしょうか。その力は、岐路に立った瞬間に発する一時的なものだけでなく、それまでに積み上げられてきたものもあります。それらすべての、生きる力を身に付ける過程において、子がどれだけ自分自身の人生を生きるのか。 自分の人生は、自分自身で切り開くしかない人。 自分の人生といえども、最終的には親の財産があるという安心感に、甘えられる人。 どちらの方が人生の道のりにおいて、生きる力を身につけられる可能性が高いのか。そして、人生の岐路に立った時に、自分の力を最大限に発揮できる可能性が高いのか。それは、明らかではないでしょうか。 子には努力を求め、アテにするような財産は残さないことを、子が幼いうちから親が伝える。これは、自分の力で生きていく大切さを教えることに繋がります。 ほとんどの場合、親は子より先に、この世を去ります。 残された子にとって、自分の力で生きていけることに勝る、安心感と充実感はありません。 意識的かどうかは別にして、親の財産をアテにできる、子の安心感や甘え。この甘えの環境こそが、子の自律・自立を妨げ易くしてしまうのではないでしょうか。 自律とは、自らを律すること。自らを克服し、自分自身をしっかりといましめられることです。 自立とは、自らで立つこと。自らの努力により、自分自身の生活を成り立たせることです。 自律・自立が妨げられた子は、最終的には、親に頼る可能性が高くなります。正確には、親の財産に頼ると言えるのかも知れません。特に、家業を継ぐような場合は、なおさらでしょう。子の仕事と生活のほぼ全域が、親の財産に縛られるからです。 親は「仕方がない奴だ」とボヤきながらも、子がいくつになっても自分を頼ってくることに、それとなく優越感を覚え、ある意味において満足することもあるのでしょうか。それは、まるで自分がそれだけ頼り甲斐のある「立派な親」だという証のように。そして、頼られることにより、親による子の支配も成立し易くなります。 けれども、そもそも財産をアテにできるような環境を、親が子に提供したのです。その環境は、子がまだ幼い頃のそれとない会話や暗黙の了解にまで、さかのぼることもあります。それにより、子の生きる力を身に付けづらくし、子の自律・自立を妨げ易くし、そして、結果的に親の財産に頼るしかない状況をつくり易くする。それは、意識的かどうかは別にして、相続という「自己中心的な愛情」の、ありがちな末路ではないでしょうか。 続きを読む:相続をしない理由(3)【兄弟姉妹間の争い】 前回を読む:相続をしない理由(1)【親による、子の支配】 全シリーズ:相続をしない理由(1)~(7) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 同じテーマを読む:相続 Comments are closed.
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