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【兄弟姉妹間の争い】
親が亡くなると、溢れ出てくる感情を落ち着かせる余裕もなく、お葬式が台風のようにやってきては、去ってゆく。そして、残された子たちのもとへ、息をつく間もなく次にやってくるのが、遺書です。 一般的な遺書には、残された家族への暖かな気持ちがつづられているのと同時に、財産分与についても書かれています。 相続をする残された子たち。子といっても、多くの場合は既に成人した、それぞれの家庭をもつ、独立した大人たちです。その大人たちには、それぞれの想いと感情があり、歴史があります。その歴史の一部には、親との関係が、紛れもなく刻まれています。そして、同じ親の子たちといえども、それぞれの親子関係があるのです。 昔から、親と気が合った子。そりが合わなかった子。また、自身の結婚など、ある出来事がきっかけとなり、親との関係が変わってしまった子。 幼い頃から、親と一緒に生活をほとんどしたことがない子もいるでしょう。一緒に生活をしていても、心を開放し、楽しみや悲しみの時間を共有していなければ、お互いを理解し合うことは難しい。一緒に生活をしていなければ、なおさらです。 近くに住んだり、場合によっては同居までして、親の老後の面倒を見た子。遠方に住んでいて、まったく老後の面倒は見れなかった子。あるいは、見ようともしなかった子。 そこには、自分が育つ過程において親から虐待を受けたから、見なかった子もいるでしょう。虐待による後遺症に悩まされ、見れなかった子もいるでしょう。それでも、資金的な援助はした子。しなかった子。 本当に様々ではないでしょうか。 また、それぞれの子の配偶者たちにも、それぞれの想いと感情があり、歴史があり、親との関係があります。同居までして、子の配偶者が中心となって老後の面倒をみた場合。当然に、あらゆる権利を得たと思う気持ちも、芽生えるでしょう。 そのような、多種多様な感情や関係がうごめく中、遺書には「財産は子に平等に分ける」とする場合もあれば、「長男には自宅を残す」こともある。あるいは「同居してくれた次女には多めに与える」とする場合もあれば、「何もしてくれなかった次男には、何も残さない」こともある。 残念なことに、亡くなった親との想い出や暖かな気持ちよりも、遺書の主役が財産分与になってしまうことが、割と多いのではないでしょうか。それは、とても悲しいことです。そして、その残された子たちによる、配偶者を巻き込んだ、骨肉の争いに発展することが、後を絶たない。 「自分の方が、老後の大変な時期の面倒を見たのに、同額なのは納得できない」とか。「自宅を長男がもらったら、残りはわずかしかないので不公平だ」など。金額の大小に関係なく、相続が発生したと同時に、兄弟姉妹間の仲が結束するどころか、修復不能なまでに破壊されることは、結構あるのです。 2014年の日本において、相続の争いが裁判にまで発展したのは1万5千件以上。そのうち、遺産が1千万円以下の場合が32%、1~5千万円以下の場合が43%でした。併せて、相続をめぐる裁判沙汰の4分の3が、5千万円以下の争いでした。 これらの数字は、例えば大都市圏でマンションを所有している親の場合など、財産をめぐる醜い争いは、ぼぼ誰にでも起こる可能性を示しています。 また、相続をすると相続税が発生します。日本の場合、相続税が発生するのが年間4~5万件ですので、そうすると、相続の約3分の1ほどが、裁判沙汰にまで発展していることになります。裁判にはならないまでも、何らかの争いに発展しているケースは、もっとあるでしょう。 相続とは、財産を残す親の気持ちとは裏腹に、受け取る側の「自己中心的な愛情」をも、むき出しにしてしまうことがあるのです。 続きを読む:相続をしない理由(4)【財産目当て】 前回を読む:相続をしない理由(2)【自律・自立の妨げ】 全シリーズ:相続をしない理由(1)~(7) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 同じテーマを読む:相続 Comments are closed.
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