|
【財産目当て】
アメリカの宝くじに当たると、莫大な賞金を手にする引き換えとして、ありとあらゆる人たちが、近づいて来るそうです。 「宝くじに当たったんだって。おめでとう。ところで昔の話だが、君の親がとても困っていた頃に、お金を貸したんだ。それを、返済してもらえないだろうか。」 「やあ、僕のことを覚えているかい。高校時代の同級生だよ。久しぶりだなあ、何十年ぶりだろう。ところで、儲かる投資先があるんだけど、出資してみないか。」 もちろん、まともな誘いもたくさんあります。しかし、なかには怪しいものもあるでしょう。 相続は、宝くじと似たような性質を備えています。たまたま、財産を持っている親のもとに生まれてきたというだけの理由で、何ら自分の努力とは無関係な財産を手に入れること。財産の多い人の子供であれば、たとえそれほど頑張らなくても、報われることがある。これは、単なる運という意味において、宝くじと似ています。 そして、宝くじの賞金と同様に、相続財産に近づいてくる誘い。それらには、まともなものもあれば、怪しいものもある。分かり易いものもあれば、分かり難い場合もあります。 例えば、結婚を考える程まっすぐな気持ちで、お付き合いをしている人がいる場合。真剣になればなる程、ふと疑問に思うことが出てくる時もあるでしょう。 「自分はこの人を、心の底から愛している。しかし、この人もそうなのだろうか。この人も、本当に私個人という人間を愛して受け入れているから、私と一緒にいるのだろうか。それとも、私の相続財産を目当てに、私と一緒にいるのだろうか。」 言うまでもなく、お金が主たる結び目となっている関係は、危うくてモロい。そして、その問いへの解答は、考えれば考える程、時として分からなくなってくることもあります。 その財産がなくとも、相手が去って行かなければ、その関係は本物でしょう。しかし、既に相続した財産、あるいはこれから相続するであろう財産があり、それを相手が知っていれば、確認することは容易ではありません。 また、そのような財産の話はしたことがないので、知らないだろうと思っても、本当に知らないのかどうか。また、親の生活を見たり聞いたりして、それとなく推察できる範囲内なのか。やはり最終的には、確認のしようがないのかも知れません。 人生における最も素晴らしい関係を、子が築くことが出来た。これは子本人にとっても、そして親にとっても、とても幸せなことです。親がこの世から去った後も、子の愛する人が、子に寄り添ってくれるということ。とても有難いことではないでしょうか。しかし相続により、その素晴らしい関係を危うくする不必要な負担を、子に背負わせることになりかねないのです。 もちろん、自分で働いて築いた財産を目当てで、近づいてくる誘いもあります。財産目当てという点においては、同じことでしょう。しかし、相続や宝くじの賞金には、それを築く過程における自らによる努力が欠如していることもあり、自分自身に対する確かな自信を形成する経験がそこには存在しないこともあり、一種独特な無責任さと危うさが内在するのではないでしょうか。 相続とは、受け取る側の気持ちとは別に、近づいてくる人たちの「自己中心的な愛情」に、利用されてしまう危うさもあるのです。 続きを読む:相続をしない理由(5)【不安定な世界】 前回を読む:相続をしない理由(3)【兄弟姉妹間の争い】 全シリーズ:相続をしない理由(1)~(7) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 同じテーマを読む:相続 Comments are closed.
|
ENG/JPN Posted Alternately
日本語/英語を交互に掲載 Author プロフィール
JOE KIM Theme テーマ
All
Visits アクセス15,384 (as of 4/1/2026) |
© COPYRIGHT ALL RIGHTS RESERVED.
RSS Feed