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【不安定な世界】
戦争を起こし、多くの人びとの命が失われ、幸せな生活が破壊されているシリアやイエメンやスーダン。多くの若者たちがタリバンやアイシス(ISIS)などに参加し、テロリストになっているアフガニスタンやイラク。ボコハラムによって、少女たちが誘拐されているナイジェリア。これらすべてにおいて、根底で共通しているのは「不安定な社会」でしょう。 日本やアメリカにおいても、戦前のようなナショナリズムが台頭し、安倍政権やトランプ政権が誕生。ヨーロッパにおいても、極右政党が次々に躍進。それらの背景にも「不安定な社会」があるのではないでしょうか。 その不安定な社会を、世界中にもたらす大きな原因となっているのが、「格差社会」の広がり。それは、恵まれた境遇の人と恵まれない境遇の人との間に生ずる、生活水準の格差であり、収入や保有資産の格差です。そして、この問題をより深刻化させているのが、教育や雇用など「機会の格差」です。生まれながらにして、乗り越え難いほどの「機会の格差」が存在していることです。 どうして、そのような「機会の格差」があるのでしょう。 努力を怠ったが為に、恵まれない境遇に陥った人も中にはいるでしょう。しかし大多数の人たちは、貧しい国や紛争地域で、たまたま生まれてしまった。貧困に苦しむ家庭に、たまたま生まれてしまった。虐待を繰り返す両親の元で、たまたま育ってしまった。生まれて間もなく孤児になった。厳しい差別・弾圧・迫害にさらされるマイノリティとして、たまたま生まれてしまった。生まれつき体が不自由だった、など。 本人になんら選択の余地のない状況から、恵まれない境遇に陥ったのです。人生の出だしから、恵まれた境遇の人たちと同じスタートラインに立っていなかったのです。これでは当然「機会の格差」が生まれてしまいます。 そして、恵まれない境遇に陥った人たちは、育つ過程においても、恵まれた境遇の人たちと同じグラウンドにも立たせてもらえなかったのです。 例えば、裕福な家庭では、自分の子供にかけられるお金があるため、衣食住に困ることがないのはもちろんのこと。家族と楽しい旅行に出かけて、一生大切にする思い出を作ること。大きな世界を肌で体感して、見識を広げること。私立の優秀な学校で学ぶこと。そこに受かるために、塾や家庭教師をつけてもらったり、習い事をさせてもらったりすること。 そうした過程を経ることにより、社会的に有益とされる、様々な能力を身に付け易くなる。そしてそれが、望まれる仕事にも繋がり、収入にも繋がり、生活水準にも繋がり、やがては保有資産にも繋がる傾向があるのです。 一方で、恵まれない境遇で育った子たちには、そのような機会は与えられません。その子たちにとって到底乗り越え難いものになるほど、そうした富裕層のアドバンテージは、日々どんどん積み重なってゆきます。これではますます、仕事・収入・生活水準・保有資産における格差は広がってゆきます。 しかも、それら日々のアドバンテージを与えられた富裕層の子たちは、それでも足りぬと言わんばかりに、ダメ押しともいえる親の財産をも相続するのです。一方で、どんどん遅れをとってしまう恵まれない境遇で育った子たちは、期待できる親の財産などありません。恵まれない境遇に陥った人やその子供たちにとって、教育や雇用などの機会は増えることなく、さらには相続により、富裕層との「機会の格差」が広がり続け、それにより「格差社会」は乗り越え難いほど固定化してゆきます。 生まれながらにして「機会の格差」が歴然としてしまっている、私たちのこの世界。そのあまりにも理不尽な境遇を、世代をまたいで、世界中で持続させているとても大きな要因が、私たちの「自己中心的な愛情」ともいえる、相続なのではないでしょうか。 続きを読む:相続をしない理由(6)【私たちにできること】 前回を読む:相続をしない理由(4)【財産目当て】 全シリーズ:相続をしない理由(1)~(7) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 同じテーマを読む:相続 Comments are closed.
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