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#60: コロナ危機から学ぶ(第1回)

4/25/2020

 
【信頼】
新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから、約3ヶ月が経ちました。残念なことに、その間、世界中で少なくとも270万人が感染し、18万人もの人たちが犠牲になってしまいました。一人ひとりの健康や命が失われるこの悲しみを、出来る限り防ぎたい。
 
感染者・犠牲者数は、とても深刻な状況を示していますが、それでも実際の人数は、発表値の数倍なのではないかと思わされます。なぜなら、検査が進んでいるドイツやイタリアでさえも、人口の約2.5%しか検査をしていないのが現状だからです。アメリカでは1.4%で、日本に至っては先進国最低の0.1%。

そもそも検査をしなければ、陽性が確認されることはなく、例えコロナにかかっていたとしても、その人たちは発表値には含まれません。そして、コロナにかかっていても、無症状の人たちが相当数いることや、また、その人たちが知る由もなく、感染を更に拡大させてしまっている事実が明らかにされています。そのことからも、検査はとても重要です。

 
ドイツやイタリアでは、人口100万人当たりで、約2万5千人の検査を実施。アメリカでは1万4千人で、日本では桁違いの1千人しか検査をしていない。「安倍政権は、国内の実態を隠ぺいしようとしているのでは」と、世界の人たちから懐疑的に見られても仕方がない程、かたくなに検査を拒んでいるようです。なぜ、そうするのでしょう。
 
3月の時点においては、東京オリンピックを予定通り開催することに、安倍政権が固執していたからではないでしょうか。子どもたちの教育や成長を犠牲にすることは余りいとわなくとも、オリンピックの予定はどうしても死守したかったようです。感染症パンデミックの専門家と相談することなく、いち早く学校を閉鎖したものの、幅広い検査などは実施することなく、「日本・東京は安全だ」と発信し続けました。
 
その雰囲気に多くの国民も安心しきった様子で、世界的な感染拡大の勢いが増すなか、「自分たち日本人は世界でも類を見ないほど清潔好きだから」という自尊心をお互いにくすぐり合いながら、安倍政権の主張をほぼ鵜呑みにしました。頭の片隅では一抹の不安を抱えながらも、科学的見地や事実はさておいて、平静を装うことを選んでしまったのではないでしょうか。
 
未だに検査を増やさないので、実態の把握はしようがありません。しかし、海外からの要請が相次ぎ、東京オリンピックを延期せざるを得なくなってから数日後には、一転して緊急事態宣言を発令したことからも、安倍政権の当初の主張は、人々の健康や命を守るという観点において、信頼に値するものではなかったと言わざるを得ない。
 
そもそも、オリンピックを誘致する2013年の段階でも、国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、安倍首相は、福島原発事故について「状況はコントロールされている。事故からの悪影響は、今まで東京には一切なく、そして将来も全く問題がないことをお約束します」と答えています。その僅か1か月前に、福島原発の地下水から、高濃度放射性物質に汚染された水が、1日当たり約300トンも海に流出している事実を政府が明らかにしているにもかかわらず。
 
一方で、IOC総会の数日後に、福島原発の事故対応に追われていた東京電力の山下フェローは、「今の状態はコントロールできているとは思わない」と発言しています。また、特に当時は事故からまだ2年しか経っておらず、東京において、放射能の悪影響が甚大だったことは、記憶に新しいところでした。ここでも、オリンピックに固執する安倍首相の主張は、人々の健康や命を守るという観点において、信頼に値するものではなかったと言わざるを得ない。
 
それが嘘だと薄々気が付いていても、とりあえず安心できる話であれば、それにすがりたい気持ちは分かります。誰しもが持つ、心の弱い部分でしょう。放射能も、コロナも、「なんてことないんだ」と思い込みたい感情。けれども、それにより被害を益々拡大させ、問題をさらに先送りさせることにより、誰が一番の被害者になるのか、私たちは考えなければならない。
 
軍国時代の大日本帝国が自国民に嘘をつき、現代のテロリスト集団の先駆けのごとく「聖戦」の名のもとに、中国を侵略し、アジア諸国から搾取し、言葉にすることすらためらうような殺りくや性奴隷制度を繰り広げ、村の婦女を強姦しては証拠隠滅のためその家族を殺害し家ごと焼き払い、アメリカとの戦争へと突入した時も、国民の生活と命を守るという政府の主張は、信頼に値するものではありませんでした。
 
アメリカが自国民に嘘をつき、ベトナム・アフガニスタン・イラクを侵略し、無実の人たちを殺りくした戦争や、中東を含むあらゆる地域の争いに武器の提供等の方法で加担した時も、国民の生活と命を守るという米国政府の主張は、信頼に値するものではありませんでした。
 
昔も今も、政府の暴走につきものなのは、「気にいらない現実であれば、それを隠ぺいし、改ざんし、なかったことにしたがる」こと。安倍政権の森友・加計・年金・桜を見る会・歴史改ざん等の問題にしても。トランプ政権の地球温暖化否定や、軍事支援の見返りとしてトランプ大統領自身の再選を有利にする嘘をウクライナに公表させようとした問題なども。そうするからこそ、民主主義をないがしろにする傾向に陥ってしまうのです。
 
そして、政府の暴走を、国の暴走にまで悪化させてしまうのは、頭の片隅では一抹の不安を抱えながらも、科学的見地や事実はさておいて、国民が平静を装うことを選んでしまう時です。
 
私たち一人ひとりが、現実から目を背けずに、事実を認識し、自分の頭で考え、一人ひとりの健康や命、そして人権を守る為に、責任を持って行動すべきではないでしょうか。

続きを読む:コロナ危機から学ぶ(2)【殺人者が英雄?】
 
全シリーズ:コロナ危機から学ぶ(1)~(4)
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    JOE KIM
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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