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#61: コロナ危機から学ぶ(第2回)

5/25/2020

 
【殺人者が英雄?】
コロナ危機において、とても気になる動きがあります。それは、この危機が、戦争美化の道具として利用されつつあることです。
 
「アメリカはコロナとの戦争にも勝つ」という主張が、米国において幅広く、テレビやインターネットを通じて聞かれる。また、米軍は、戦闘機のアクロバット飛行をニューヨーク上空で披露し、「国の結束を示し、コロナの検査や治療にあたる医療従事者を激励した」と胸を張る。
 
そもそもアメリカでは、軍人を「英雄」だと称える文化が根付いています。政治家の重要なスピーチで、軍人を英雄視する発言が繰り返されたり。街のレストランやお店、あるいは車の保険までも、軍人割引が当然のように見られたり。
 
また、テレビやインターネットでも、爽やかで勇敢そうな男女が、マシンガンを手に迷彩服を身にまとい、戦闘機や戦車を自由自在に操る。そのイメージを「国民の生活と命を守る」カッコいいもののように描いた、軍隊のリクルート宣伝を頻繁に目にする。大学の学費を稼いだり、充実した医療保険を提供してくれる良き就職先として、軍隊を強烈に売り込む。
 
「最終的には、人を殺すことを仕事とする」軍隊に、普通の人たちが、お金を稼ぐために就職するのです。そして、そこに就職すれば、自動的に「英雄」になれる。その人の、真の人間性に関係なく、自動的になる「英雄」とは、いったい何なのでしょう。
 
そのような中で、現在のコロナ危機をも戦争であるかの如く、話をすり替えようとする人たちが増えています。多くの医療従事者たちが、マスク・防護服・消毒液など、底をついている医療用品を切実に求めているのに、戦闘機パフォーマンスをやったり、メディアを通じて彼ら/彼女らを、まるで軍人のように「最前線で戦う英雄」だと称える。「コロナとの戦争にも勝つ」というスローガンを繰り返して、アメリカ国民の愛国心を奮い立たせ、コロナ危機が戦争美化の道具として利用されつつある。
 
感染者・犠牲者が後を絶たず、病院から溢れんばかりの患者の手当に医療従事者が追われていることから、コロナ危機を戦争になぞらえるのでしょう。けれども、その本質がまったく違うにもかかわらず、コロナ危機を戦争美化の道具として利用することは、とても浅はかで、危険です。
 
発見されてから僅か数か月ということもあり、まだまだ分からないことだらけの新型コロナウイルス。しかし、少なくとも科学的に分かっていることは、このウイルスは自然発生した微生物の一種であること。一方で戦争は、人間の恐怖心を利用し、権力者が意図的に自らの権力を保持しようとすること。
 
そのためには、暴力・差別・脅し・嘘・隠ぺい・改ざんなど、戦争は手段を選ばない。無実の人びとの自由を奪い、生活を奪い、人権を奪い、命を奪い、殺すことが推奨される。そして、殺すことを断ると、犯罪者にされる。このように戦争とは、モラルのあべこべを作りだす。戦争を絶対に許容してはならない本質的な理由は、殺すことを国民に強いるからです。
 
一方で、コロナにかかった人たちに医療を届けることは、戦争のようにモラルのあべこべを作りださない。その本質がまったく違うのに、コロナ危機が戦争美化の道具として利用されつつある。
 
「軍人が英雄なのは、命を賭けて、他者を守るからだ」と言う人たちもいます。そうであるのならば、災害の現場や、途上国の人たちを支援する職業やボランティアの人たちも、命を賭けて、他者を守ります。また、「人を助けることを仕事とする」医療従事者・スーパーの店員・郵便や宅配の配達員たちも、現在のコロナ危機において命を賭けています。
 
それなのに、「人を殺すことを仕事とする」軍人のみが「英雄だ」として常に称えられ、政治家のスピーチで繰り返され、国から特別な保障を与えられるのは、国が戦争をできるようにしておく為の、戦争を美化するための、政府のプロパガンダでしょう。
 
コロナ危機によって、戦争を美化してはならない。むしろ、政府・メディア・一般市民によるこの危機への対応から、人びとの恐怖心・愛国心・集団ヒステリーなどの感情が、どのように戦争美化の道具として利用されるのか。そこに便乗してしまわない為にも、自分の頭で考え、しっかりと学ぶべきではないでしょうか。

続きを読む:コロナ危機から学ぶ(3)【地球温暖化】
前回を読む:コロナ危機から学ぶ(1)【信頼】
 
全シリーズ:コロナ危機から学ぶ(1)~(4)
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同じテーマを読む:暴力/平和

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    JOE KIM
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