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【国益】
国籍・国境が、生まれながらの排他意識をひどく助長し、そして分断の道具として最も利用されてしまうのが、戦争や紛争においてです。 戦争や紛争は、多くの場合、国単位で行われます。それは、軍隊が国ごとに組成され、国家が「自国民の安全を守る」という名目のもと、国ごとに武力行使を決定するシステムだからです。国々がバラバラに、それぞれの勝手な都合を主張して武力行使を決定するから、人間は戦争を起こし続けている。 そのシステムを維持するため、国家政府は人びとの愛国心をあおって、いざという時には、殺すことを推奨したり、義務付けたりする。その過程において、実際には相手国のみならず、「お国のため」という何だかもっともらしい掛け声のもと、自国民の命・幸せ・生活・自由・尊厳などを奪うこともいとわない。とても残念なことに、このようなプロパガンダが、多くの国で行われているのが現状です。 郷土愛は微笑ましいですが、暴力やヘイトにならない加減が大切です。例えば、ワールドカップで自国チームを応援するのは良いですが、それが行き過ぎて、暴力や差別発言など、ヘイトになっては行き過ぎです。 また「ハンバーガーならアメリカが世界一うまい!」は良いですが、「アメリカ・ファースト」などと言い出したら、他の国々も自国ファーストを主張し、それこそ排他意識と分断を招きます。世界中の人たちが、「自国さえ良ければ、他国が犠牲になってもいいんだ」と主張しあったら、世の中は残酷なまでに醜い世界になるでしょう。 それでも、自国ファースト政策が進みやすいのは、現在の国籍システムにおいて、国籍保持者のみに選挙での投票権を与えるからです。自国ファーストで得をする自国民だけが投票するので、損をする他国民がどれだけ反対しようとも、投票には影響がない。まさに、排他意識と分断です。国益を優先させる政治家たちは、排他・分断に流されがちな人たちにとって、とても好都合なのです。 そのような国益主義が、現在進行中のロシア軍によるウクライナへの侵略戦争などを生みます。その残虐な大量殺りくを主導するプーチン政権を、共に甘い汁を吸ってきたオリガルヒや、多くのロシア国民が知ってか知らずか、排他・分断に流されサポートし続けた結果です。 「これは侵略戦争ではないのに、そうだと報道するジャーナリストは、禁固15年の刑に処する。」このような、嘘であろうがお構いなしな脅しを、プーチン政権は今年3月に法律として施行しました。 また、同じく3月に、シベリア地方のクラスノヤルスクで、積もった雪に「戦争反対」のメッセージとハートマークを書き込んだロシア人のベラ・コトワさん。8時間も警察に拘束され、ロシア軍の信頼を損なわせようとする刑事罰の対象となり、有罪判決を受けました。 さらには、2月以降、ロシア兵によるウクライナ女性への性暴力が後を絶たない。キーウ郊外で、ロシア兵により夫を殺害された後、繰り返し強姦された女性。ウクライナ南部のヘルソンで、複数のロシア兵から集団強姦された四児の母。 それらは、軍国日本が1900年代において中国・韓国をはじめとする、アジア諸国に対して侵略戦争を起こしたことを彷彿させます。その残虐行為に反対する自国民を「非国民」と罵り、家族から引き裂き、投獄し、拷問をしたことを忘れてはならない。 また、日本兵が、アジア諸国の村の婦女を強姦しては証拠隠滅のため、笑いながらその家族を殺害し、家ごと焼き払ったことを思い出させます。そして、軍国日本が、推定5万人~20万人もの、少なくとも11カ国の女性たちを、性奴隷にしたことを思い起こさせます。[詳しくは#22] これらのおぞましい行為は、日本・アメリカ・オランダ・オーストラリアを含む各国政府の資料、そして日本の元軍人や政治家、さらには兵隊と共に戦地に行った医者の証言・手記・当時の日記、また世界中の学者たちによる調査結果であることを、否定はできません。 それでも、安倍元首相・麻生元首相・菅前首相をはじめ、岸田首相に至るまで、自民党のほとんどの主要議員がメンバーになっている日本会議は、未だに「先の戦争は侵略戦争ではなかった」と言い張っています。「性奴隷はいなかった」と、事実を捻じ曲げようとしています。「南京大虐殺はでっちあげだ」と、嘘であろうがお構いなし。昨今、選挙において躍進している日本維新の会も、似たような主張を繰り広げています。 これら言動は、現在のプーチン政権を連想させます。そして、多くのロシア国民のように、これまた多くの日本国民が知ってか知らずか、排他・分断に流されサポートし続けている事実も。 戦争や紛争において、国家vs国家、国民vs国民の構図を作り上げるのが、分断の道具として利用される国籍・国境なのです。 続きを読む:分断なき多様性に向けて(7)【明らかな矛盾】 前回を読む:分断なき多様性に向けて(5)【国籍】 全シリーズ:分断なき多様性に向けて(1)~(7) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 同じテーマを読む:多様性/インクルーシブ Comments are closed.
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