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#85: 分断なき多様性に向けて(第7回)

6/10/2022

 
【明らかな矛盾】
国籍・国境が、生まれながらの排他意識をひどく助長し、そして分断の道具として最も利用されてしまうのが、戦争や紛争においてです。
 
もちろん、アメリカも例外ではありません。
 
現在進行中のロシア軍によるウクライナへの残虐行為を目の当たりにし、バイデン政権は、「侵略戦争は許されない」と断固反対の姿勢を貫いています。これは、素晴らしいことです。しかし、アメリカは過去において、自らが侵略戦争をしています。
 
例えば、2003年にブッシュ政権は、9.11同時多発テロへの報復措置として、国連での賛成を得ることなく、そのテロに何ら無関係で、大量破壊兵器のないイラクへの侵略を開始しました。また、1960年代に激化したベトナム戦争においても、アメリカ軍は侵略戦争を繰り広げ、戦争に反対する自国民を逮捕する浅はかさ。それら自国軍による、過去の侵略戦争に関する謝罪や反省を、いまだに余りしません。
 
あるいは、ホロコーストをはじめ、現在のロシア軍によるウクライナにおけるおぞましい行為や、中国政府によるウイグル族に対する卑劣な行為など、「ジェノサイドは許されない」とバイデン政権は断固反対の姿勢を貫いています。これも、とても素晴らしいことです。
 
けれども、まさに無差別大量虐殺である広島・長崎への原爆投下や、太平洋戦争における東京・大阪・神戸・名古屋をはじめとする、日本全国200都市以上への大空襲。さらには、ベトナム戦争におけるナパーム弾による空爆など、自国軍による過去の残虐行為は、いまだにジェノサイドであると認めない明らかなる矛盾。
 
さらには、このような矛盾による悔しさを嫌というほど知っている日本政府でさえも、立場が入れ替わったとたん、1938年から開始した中国・重慶への空爆などを、いまだにジェノサイドであると認めません。
 
侵略戦争やジェノサイドを起こした当時の政権とは、まったく違う主義主張をもった現政権ですら、国籍・国境に囚われ、分断の道具に縛られ、すべての人にとって世界をより良くすることをためらっている。
 
それもその筈、現在の国籍システムにおいては、国籍保持者のみに選挙での投票権が与えられているからです。その結果、他国民からどれだけ支持されようが、世界中の人びとにどれほど愛されようとも、投票には何ら影響がなく、選挙で勝つことには結びつかない。まさに、排他意識と分断を招いてしまう、現在の国籍システムです。
 
暴力・差別・脅し・嘘・隠ぺい・改ざんなど、戦争は手段を選ばない。無実の人びとの自由を無視し、穏やかな生活を破壊し、父親を軍隊に奪い、母親を暴力に失い、子どもの無垢を取り上げ、家族のだんらんを引き裂き、人権をないがしろにし、命を粗末にし、殺すことが推奨される。そして、殺すことを断ると、犯罪者にされる。

このように戦争とは、モラルのあべこべを作りだす。「お国のため」という何だかもっともらしい掛け声のもと、その道具として利用されてしまう、国籍と国境。
 
一方で、アメリカのリベラルな教育は、多様性を歓迎し、分断を失くすことを推奨し、自分の頭でしっかりと考え、紛争解決に暴力を用いてはならないと教えます。他方で、保守のみならず、多くのリベラルな人びとですら、「人を殺すことを仕事とする」軍人を「英雄だ」と称え、国家はその「英雄たち」に特別な保障を与える。
 
最終的には、上司に「殺せ」と言われれば「仕事ですから」と、引き受けなければならない軍隊。そのような職場に、普通の人たちが、お金を稼ぐために就職する。そして、そこに就職すれば、その人の、真の人間性に関係なく、自動的に「英雄」とされる。
 
軍人が「英雄」だとするならば、上司の命令通りに人を殺すことをいとわない人間性の持ち主が「英雄」だと、大人たちは子どもたちに教えることになります。
 
これら明らかなる矛盾の愚かしさを認め、過去の過ちを直視し、謝罪し、反省し続け、そして、二度と同じ過ちを繰り返さぬよう、正直な学校教育をすること。けれども、それを阻んでしまうところに、現在の国籍・国境システムの限界が露呈するのです。
 
だからこそ、分断なき多様性を歓迎するには、違いを好意的に受け入れ、排他意識をなくしてゆくことが、とても大切ではないでしょうか。


前回を読む:分断なき多様性に向けて(6)【国益】

全シリーズ:分断なき多様性に向けて(1)~(7)
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    Author プロフィール

    JOE KIM
    Retired from business at age 34. Now, an active supporter of inclusive initiatives globally.
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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