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#3: 固定化した富と貧困の連鎖を断つには

2/13/2017

 
自分の子が可愛いと思う気持ちは、本当に素晴らしいことです。
 
人間のみならず、あらゆる生きとし生けるものの神秘とも言えるのではないかと、思ったりもします。
 
しかし、この気持ちが、いつしか自分の子さえ良ければいいという考えにすり替わってしまっているとしたら、これはたいへん残念なことになってしまいます。なぜなら、この考えが、世界的に格差社会を広げている根源にあるからです。
 
アメリカや日本のような資本主義国家のみならず、結果の平等を求める共産主義や社会主義の国家でさえ、富の格差は広がる一方です。アメリカではトップ1%の富裕層が、米国全体の40%の富を占めているそうです(2014年)。ということは、300万人のアメリカ人富裕層グループが、残りの3億2000万人のアメリカ人全員と、ほぼ同じくらいの財産を持っていることになります。

感覚的にそこまでの格差社会ではない日本でさえも、トップ
2%の富裕層が、日本全体の20%の富を占めているそうです(2012年)。さらに、2016年3月の参院予算委員会で「上位1%に日本の富の47%が集中している」と指摘されたことが報道されています。もしこの数字が正しければ、日本はアメリカよりも富が集中していることになります。
 
もちろん、いくら頑張っても、あるいは頑張らなくても、生活水準は何も変わらないとなれば、大多数の人は怠けてしまい、それは社会全体にとってマイナスでしょう。これは、共産主義や社会主義が1900年代に衰退してしまったことで実証されたと言えます。

ですので、努力した人がしっかりと生活水準を上げていくことや、怠けた人が生活水準を下げざるを得ないというのは、資本主義が現在のところ一番良さそうなシステムである以上、これは納得ができます。それにより、社会全体が繁栄していくことが望ましい姿です。

 
けれども、問題はその後です。
 
富の格差が広がっている大きな原因は、裕福な者はより裕福に、貧しい者はより貧しくなってしまっている、固定化された連鎖にあります。なぜ連鎖するのかというと、多くの富裕層は富を相続しているからです。
 
大多数の裕福な親が、自分の子に財産を遺しているからに他なりません。
 
そもそも、資本主義の目指すべき姿とは、努力した人が報われるシステムです。しかし、現在は、財産の多い人の子であれば、たとえ頑張らなくても、報われることが結構あるシステムになってしまっています。

一方で貧困層はどうかというと、財産をもらうどころか、借金を遺されるおそれすらあります。いくら努力しても、固定化された貧困の連鎖から抜け出すことが容易ではないとなると、これは資本主義の目指すべき枠から逸脱していると言えるでしょう。むしろ、侍の子は侍であり続け、百姓の子は百姓であり続けていた、士農工商のシステムに似ているとすら感じます。

 
そこで重要になってくるのが、富の再分配です。
 
もちろん相続税はありますが、多くの富裕層はあの手この手を使って、出来る限り自分の可愛い子や子孫代々にまで財産を遺そうとします。
 
自分の子が可愛いと思う気持ちは、本当に素晴らしいものです。
 
しかし、自分の子さえ良ければいいというのは、利己的(selfish)になってしまいます。
 
世界にいる子たちは、みんな可愛い子どもたちです。みんな希望と夢にあふれてほしい子ども
たちです。

資本主義が目指す姿に立ち戻り、努力した人が報われる社会を、よりいっそう追い求めてみてはどうでしょうか。

 
子には努力を求め、あてにするような財産は遺さないことを、子が幼いうちから伝える。これは、自分の力で生きていく大切さを教えることに繋がります。

ほとんどの場合、親は子より先に、この世を去ります。

 
遺された子にとって、自分の力で生きていけることに勝る、安心感と充実感はありません。
 
子に財産やお金を遺すのではなく、共に過ごした楽しみや悲しみといった、心の通った思い出をたくさん遺す。その子自身をしっかりと見つめ、その子に合った育て方を正直に真剣に模索し、目一杯の愛情と時間をそそいだら、その後はその子自身の生きる力を信じて見守る。
 
そして、一生を終えてもなお遺った財産は、相続ではなく、恵まれない境遇にある子どもたちや人々に還元することが、富の再分配に向いていると思います。

 
努力を怠ったが為に、そのような境遇に陥った人も中にはいるでしょう。しかし、例えば、貧しい国や紛争地域で、たまたま生まれてしまった。経済的に恵まれない家庭に、たまたま生まれてしまった。ひどい両親の元で、たまたま育ってしまった。生まれて間もなく孤児になった。厳しい差別・弾圧・迫害にさらされるマイノリティとして、たまたま生まれてしまった。生まれつき体が不自由だった、など。

大多数の人たちは、本人になんら選択の余地のない状況から、恵まれない境遇に陥ったのです。人生の出だしから、恵まれた境遇の人たちと同じスタートラインに立っていなかったのです。そして、育つ過程においても、同じグラウンドにも立たせてもらえなかったのです。

 
「それは分かる。けれども、財産をもらえない自分の子が、可哀そうじゃないですか。」
 
そう言われる方もいると思います。
 
しかし、本当に可哀そうなのでしょうか。
 
例えば、裕福な家庭では、自分の子にかけられるお金があるため、衣食住に困ることがないのはもちろんのこと。家族と楽しい旅行に出かけて、一生大切にする思い出を作ること。大きな世界を肌で体感して、見識を広げること。私立の優秀な学校で学ぶこと。そこに受かるために、塾や家庭教師をつけてもらったり、習い事をさせてもらったりすること。

既にその子は、恵まれない境遇
で育った子たちより、遥かに恵まれた育ちが出来ているのです。恵まれない境遇で育った子たちにとって、到底乗り越え難いものになるほど、そうした富裕層のアドバンテージは、日々どんどん積み重なってゆきます。
 
それでも、さらに財産をもらえないと「自分は可哀そうだ」と思ってしまう子だとしたら、よりいっそう親子の深く多面的な会話が、求められるのではないでしょうか。
 
それでは、相続は絶対に避けたほうが良いのでしょうか。
 
そうではないと思います。主に二つの例外は考えられます。
 
一つ目は、恵まれない境遇にある子供たちや人々に向けた慈善事業などを、子が人生をかけて全うするような場合です。親の財産を、その活動を支えるために使ってもらえるのなら、恵まれない境遇にある子供たちや人々に還元することに繋がります。
 
二つ目は、子やその家族になんらかの身体の障害があり、生きていくためのケアにお金がどうしても必要な場合です。同じような境遇でありながら、そのようなお金がない方々のことを想うと、これは利己的(selfish)になるのではないかと心が引き裂かれます。しかし、同時に、身体的に恵まれない者の親族としての責任でもあると思えるのです。
 
努力した人が報われて、固定化した富と貧困が連鎖しないシステム。そのような、現在の資本主義よりもっと優れたシステムを、信念をもって全員で構築できないものでしょうか。個々人の行動によって、連鎖を断つことができるのです。 
​
​それは、遺せる財産をもつ一人ひとりのモラルにかかっているのではないでしょうか。


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    JOE KIM
    Retired from business at age 34. Now, an active supporter of inclusive initiatives globally.
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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