|
【私たちの責任】
原発が持続できない3つ目の理由である、原発にかかる本当のコスト。その二つ目の主張として「原発がなければ電気代が高くなるから、日本は原発をやめられない」。これが、明らかな誤りだということを「逆転の根拠 その1~3」を示して、説明しました。 「その1:安全対策費用」は3.3兆円、「その2:事故処理コスト」は879兆円、「その3:安全廃炉コスト」は336.1兆円、総計1218.4兆円。今の科学をベースに、推定でも試算できる範囲内だけで、この巨大な金額です。世界一の借金大国と呼ばれる、日本国の借金額をも超えるこの金額が、経済産業省の「エネルギー白書」において、おおむね記載漏れとなっているのです。そして、今なお、原子力の発電コストが安いと主張し続けて、原発の再稼働や新設までをも進めようとする政権や原発推進派は、無責任を通り越して、もはや悪質ではないでしょうか。 それでは、総計1218.4兆円という巨大な金額は、私たちの生活レベルにまで落とし込んで考えてみると、実際にどのような電気代なのか。 2017年時点において、日本には約1億2千6百万人が暮らしています。そうすると、1人当たり967万円の電気代が、実際に今まで私たちが支払った電気代をさらに超過して、既にかけてしまった計算になります。3人家族の世帯であれば、2900万円ほどになります。 これを、毎月の電気代として考えてみます。日本人の平均寿命が約83歳ということは、生まれたあの日から亡くなるその日まで、毎月もれなく電気代を払うと仮定すると、996か月になります。その間、私たちは電気代を1人当たり毎月9700円、過少請求される計算になります。3人家族の世帯であれば、毎月2万9千円ほどになります。自分が使った分は、自分が払うことが当然だとするならば、毎月追加で支払う必要が、本当はあるということです。 日本に54基の原発を建設して、福島原発事故を1件起こしてしまったことで、この電気代は既にかけてしまったのです。総計1218.4兆円という金額は、そのような、巻き戻すことができない、現実の電気代です。 今日あなたは、この高い電気代を追加で払わないでしょう。明日も払わないでしょう。というより、あなたが生きているうちに、そのほとんどを払わないのではないでしょうか。けれども、このあまりにも高い電気代は、既にかけてしまったのです。誰かが払わなければなりません。それでは、いったい誰が、今ここに生きる私たちによって、既にかけてしまったコストを払うのでしょうか。 それは、これから生まれてくる人たちが払うのです。私たちの子や孫、またその子や孫たちです。自分が払わないコストや、解決できない問題を、他者に押し付けているのが、今ここに生きる私たちなのです。これも「他者の犠牲」のうえに成り立つ「自分ファースト」ではないでしょうか。 原発は持続できません。その理由は、本文で述べたように、明白です。 1つ目の理由:自然災害やテロなど、予測不可能なことが起こることを想定すると、危険すぎる。 2つ目の理由:高濃度放射性物質に汚染された水は、今の科学や技術では解決できない。 3つ目の理由:原発にかかる本当のコストは、火力発電コストの比ではないほど、莫大である。 そして、今ここに生きる私たちに原発の責任があることを、疑いの余地もなく、はっきりと意識したい。なぜなら、原発により発電された電力を「安いから」と言って、今まで使ってきて、そしてこれからも使い続けることを、多くの人は許容しているからです。「自分だけではどうにもならないから」と言って、現状を許してしまっているということは、消極的であっても、許容していることに違いはありません。 このような時だからこそ、今どうするかが、一人ひとりの個人に問われています。あなたは、「原発ゼロ」を公約にしている候補者に、選挙で投票しましたか。周囲の人たちに、原発は続けるべきではないと、伝えましたか。権力者に批判的になると仕返しが怖いし、周囲の目も気になるので、おとなしく何もしないのか。それとも、良くないことは良くないと、それが権力者に対してであっても、周囲の目が気になろうと、当たり前のことを当たり前のように言える、勇気と信念を持つのか。こうした、一人ひとりのチョイスが世論を作り上げ、積み重ねていけば、世界を形成してゆくのです。 福島原発事故以前は「知らなかった」で済まされた気になっていた責任も、知ってしまった今においては、その責任を逃れることは許されません。 そして、ここで述べた以外にも、原発にかかる本当のコストは、まだまだ際限がないほどあります。例えば、福島県産コメのセシウム検査に2012年から2016年の5年間で305億円。幾多の農家や生産者による、食品の放射能検査の費用。そして何よりも、コストとして数値化が難しい健康被害や環境汚染。世界中の人たちが、海や山の幸を食する度に頭によぎる、放射能汚染の心配。幸せな地元生活を奪われた住民の苦悩。家族と離れ離れに暮らすしかない人たちの心細さ。家族を失った人たちの深い悲しみ。それらにより自殺に追い込まれた人たちの無念。 人の生活の価値、心の安らぎの価値、幸せの価値、生きる物すべての価値、そして命の価値。それらの価値は、一体どれくらいなのでしょうか。あなたにとって、これらの価値はどれくらいなのでしょうか。 これらの価値と原発の真実に、正面から真剣に向き合えば、原発が持続できないことは明らかではないでしょうか。今ここに生きる私たちの責任を、今ここから生きる私たちの行動によって、全うしたい。 日本の原発コスト一覧
総計: 1218.4兆円 前回を読む:持続できない原発(3)【オンカロ】 全シリーズ:持続できない原発(1)~(4) [1] [2] [3] [4] 同じテーマを読む:環境 Comments are closed.
|
ENG/JPN Posted Alternately
日本語/英語を交互に掲載 Author プロフィール
JOE KIM Theme テーマ
All
Visits アクセス15,384 (as of 4/1/2026) |
© COPYRIGHT ALL RIGHTS RESERVED.
RSS Feed