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#72: モラルって、何なの?(第4回)

4/25/2021

 
【殺害の真実】
馴染みのあるお肉料理が、どのような過程をたどって目の前に運ばれてくるのか。そのことについて、私たちはあまり深くは考えたくないようです。それもそのはず、そのお肉は、はっきりと言うのならば、生きものを殺害して私たちの前に運ばれてくるからです。
 
いったい、どれ程の数の動物たちが、私たちが食べるために殺害されているのでしょう。
 
2017年の統計によると、世界中において一年間で、鶏さん・豚さん・牛さんなど、約720億人もの動物たちが、私たちが食べるために殺害されています。
 
世界の人口が約78億人ですので、平均すると私たち一人につき、毎年10人の動物たちを殺害して食べていることになります。これは、私たちの平均寿命が80歳とすると、生涯で800人もの動物たちを殺害して食べることになります。
 
そして殆どの場合、この動物たちは生まれてから殺害される日まで、ひどい環境で飼育されます。
 
生まれて間もなく親から引き離され、暗くて狭い檻の中で生活を強いられる。たまに外に出れたりしますが、大きくなったら、いづれは逆さ吊るしにされ、無残に殺害されます。まだ運が良ければとでも言えるのか、殺害直前に電気ショックやガスで気絶させられるケースもありますが、最もひどい場合は、そのまま斬首される。
 
この、私たちの「肉を食べる」文化は、モラルに照らして間違っているのでしょうか。
 
それは、「自分や愛する人たち、そして全ての人が、生まれて間もなく親から引き離され、暗くて狭い檻の中で生活を強いられ、逆さ吊るしにされ、電気ショックやガスで気絶させられ、無残に斬首されても妥当だ」と結論づけることが出来るのか、どうか。
 
公平かつロジカルな思考力をもって真摯に向き合ったならば、誰も、そのような生涯を望みはしない。
 
また、それだけではありません。
 
動物たちを殺害して処理する「と殺場」で働く人たちは、多くの国において、恵まれない境遇にある人たちや移民・難民の人たちです。日本やアメリカも例外ではなく、その職場環境は劣悪なことが少なくない。
 

異様な雰囲気のなか、殺される直前にある動物たちの恐怖に泣き叫ぶ悲鳴を聞き続け、毎日のように生き物を殺害し続けることによる精神的苦痛やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症。あまりの速度でベルトコンベヤーを稼働させるので、指など体の一部を機械に巻き込まれたりして、切断してしまう身体的危険。コロナなど感染症を予防することが困難な「3密」における作業。そして、会社上層部からトイレ休憩を拒まれ、オムツをはいて作業を続けさせられる屈辱。
 
これらも、「自分や愛する人たち、そして全ての人にとって妥当だ」と、結論づけることは到底出来ません。
 
そうであることから、例えどれほど、お肉料理が好きであっても、馴染みがあっても、私たちの「肉を食べる」文化は、モラルに照らして間違っているのです。
 
他の慣れ親しんでいる習慣・文化と同じように、私たちがお肉を食べるようになったのには、理由があるでしょう。その理由は、「タンパク質など栄養素が豊富」や「食べごたえがあって、美味しい」などでしょうか。
 
けれども、理由があるからといって、モラルに照らして正しい訳ではありません。前々回に述べた「奴隷制度」のように、「その行動をする理由がある」のと、「その行動がモラルに照らして正しい」のとは、まったくもって別なのです。
 
はっきりと言うのならば、私たちは理由があってお肉を食べていますが、この「肉を食べる」文化は、モラルに照らして間違っています。

続きを読む:モラルって、何なの?(5)【人間の責任】
前回を読む:モラルって、何なの?(3)【肉を食べる習慣】
 
全シリーズ:モラルって、何なの?(1)~(8)
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    JOE KIM
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    34歳でビジネスから引退。現在は、インクルーシブな支援活動家。
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