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【何も変えたくない】
次に、ふたつ目は、「動物実験をしている現代医療の恩恵は受けておいて、お肉を食べるのは駄目って、それではつじつまが合わない」のような反論。 確かに、医学の研究は進み、医療技術や薬品の開発はめざましい発展を遂げました。人体での臨床試験をする前に、動物実験により、その安全性や有効性について確認できることがあるのも事実です。 けれども、多くの動物実験は、動物たちに薬物を注射したり、毒物を食べさせたり、臓器や細胞を切り取ったりして、意図的に害を加え、苦痛を与え、恐怖を体験させ、そして実験終了後には殺害するのです。また、人間に近い哺乳類で実験をする方がより正確であろうということから、その動物たちを実験目的のため、商品のように大量生産している。 更に、2015年の統計によると、世界中において一年間で、猿さん・犬さん・ねずみさん・うさぎさんなど、少なくとも約2億人もの動物たちが実験に利用され、そのほとんどが殺害されています。 新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから約1年半になりますが、世界中における死者は、現在のところ約390万人にのぼります。死者数の比較をしたならば、いかに動物実験の被害が大きいのかが分かります。 そして、さらに驚くべき比較は、前回と前々回に述べた、私たちが食べるために殺害している動物たちと魚たちの被害でしょう。以下に、一年間における死者数を並べてみました。 【コロナ,1年半】 3,900,000人 【動物実験】 200,000,000人 【肉を食べる文化】 72,000,000,000人 【魚を食べる文化】 1,200,000,000,000人 上記のうち、コロナを除いた死者数は、ほとんどの国で報告義務がゆるいため過小評価であろうことと、人間が意図的に殺害しているという事実を、忘れることはできません。 これらを考えたならば、「動物実験をしている現代医療の恩恵は受けておいて、お肉を食べるのは駄目って、それではつじつまが合わない」との反論が、とても浅はかであることが分かります。 それは、「だから肉や魚を食べてもいいんだ」と、正当化を目的として用いられるからです。当然ながら、「既に2億人を殺害しているのだから、さらに720億人を殺害しても、なお追加で1兆2000億人を殺害してもいいんだ」という主張は、あまりに乱暴で、とても成り立ちません。 * * * * * * * * * * 前回採り上げたひとつ目の反論や、今回のふたつ目の反論。この双方に共通するのは、何らかの理由を述べるものの、結局のところは「何も変えたくない」とする姿勢ではないでしょうか。 「動物も他の動物を食べる」とする理由と、「動物実験の恩恵を受けている」とする理由。 けれども、理由があるからといって、モラルに照らして正しい訳ではないことは、繰り返し説明している通りです。#70で述べた「奴隷制度」のように、「その行動をする理由がある」のと、「その行動がモラルに照らして正しい」のとは、まったくもって別ということ。 そして、結局のところは「何も変えたくない」から、お肉やお魚を食べる理由を並べても、私たちの「肉を食べる・魚を食べる」文化がモラルに照らして間違っていることには、何ら変わりはないのです。 続きを読む:モラルって、何なの?(7)【できる限り減らす】 前回を読む:モラルって、何なの?(5)【人間の責任】 全シリーズ:モラルって、何なの?(1)~(8) [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] 同じテーマを読む:倫理観 Comments are closed.
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